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外壁に塗り壁を採用するメリット・デメリット。塗り壁材・仕上げ方法の特徴と種類。

外壁に塗り壁を採用するメリット・デメリット。塗り壁材・仕上げ方法の特徴と種類。

住まいの“顔”とも言える外観から受ける印象は、外壁の素材によって大きく変わります。

新築するとき、外壁に「塗り壁」を取り入れておしゃれな家にしたいという方もいらっしゃるでしょう。穏やかな質感で表情豊かな塗り壁には、独特の“味わい深さ”があります。

一方で、

  • 「塗り壁は汚れが目立たないのだろうか」
  • 「さまざまな種類の塗り壁があると聞いたが違いが分からない…」
  • 「塗り壁に憧れるけれど自分が理想とする家のデザインとマッチするか不安」

という疑問をお持ちの方もいるでしょう。

塗り壁はほかの外壁材とは違った魅力もあり、デザインへのこだわりや個性の演出ができるとあって近年の家づくりでとても人気です。

ただ、塗り壁ならではのデメリットや注意点をおさえておくことも大事です。

今回は、外壁に塗り壁を選ぶメリット・デメリットをはじめ、塗り壁の種類と仕上げについても詳しくお伝えします。

外壁を塗り壁にするメリット・デメリット

外壁を塗り壁にするメリット・デメリット

仕上げ方による個性の演出や、素材そのものが持つ風合いなど、塗り壁にはたくさんの魅力がある一方で、デメリットとなってしまう部分があります。

それぞれ確認していきましょう。

外壁を塗り壁を採用するメリット

自分だけのオリジナルデザインが可能

工場にて製品化されたものを建物に張っていくサイディング外壁と違い、職人の手塗りで仕上げていく塗り壁はオリジナルデザインを叶えられます。

シンプルなデザインはもちろん、薄いラインや凹凸などによる模様を施すことで、同じ色でも表情の違った外観を演出することも可能です。自分が描く、理想の外装にできます。

窯業系サイディングには「塗り壁調」のラインナップはあるものの、あくまでもボードであり、個性の表現はできません。

その場で職人が時間をかけて外壁を完成させていく手仕事で生まれる塗り壁。熟練の腕や溢れる感性をもとにオリジナルデザインを叶えることができるのです。

独特な⾵合いを演出できる

外壁にサイディングを選んだ場合、ボードをつないでできる“目地”がありますが、塗り壁にはそれがありません。

職人の手塗りで作り上げられる外壁は、機械で生産されたサイディングにはない、素材が持つ風合いがあり、そして職人の塗り方による表現力によって生まれます。シンプルなのに趣があり、味わい深さも感じることができます。

建物の形に合わせるようにひとつひとつ丁寧に外壁を塗り上げ、個性豊かな質感が醸し出されていくのが塗り壁の魅力です。

耐⽕性、防⽕性が高い

塗り壁には、デザインのバリエーションや質感の魅力のほか、安全性につながるメリットもあります。

塗り壁の下地となるモルタルに使う素材は、土や砂、石材など身近な天然の素材です。これら無機質の不燃材に厚みを持たせて作った塗り壁は、耐火性や防火性に優れた外壁となります。

耐火性や防火性を重視した外壁により、安心して暮らせる住まいになるでしょう。

外壁を塗り壁を採用するデメリット

ひび割れや劣化が起こりやすい

塗り壁は、下地となるモルタルに塗装を施しながら完成していく外壁です。

モルタルの乾燥や紫外線、地震による揺れ、寒さ、暑さなどの影響で、塗り壁は10年ほどするとひび割れによる劣化が起こりやすいと言われています。

しかしながら、どんな外壁でも年数が経てばそれなりに劣化が起こるもの。サイディング外壁と比べるとひび割れが起こりやすい塗り壁ですが、劣化しているサインを見逃さずに対応すれば悪化を防ぐことができます。

気になる点があったら、なるべく早めに専門家に相談することが大事です。

素材によって汚れが目立ちやすいことがある

塗り壁と言っても、いくつかの素材により種類の違いがあります。素材の原料、それに表面の仕上げの凹凸によっては、汚れが結構目立つかもしれません。

ただ、どんな素材にも言えることですが、外壁は紫外線を浴び、雨風によって運ばれる砂埃を受けています。年数とともにそれが積み重なって、外壁が「色褪せた」「汚れが目立つ」のは仕方のないこととも言えます。

また、さまざまなカラーシミュレーションがあるサイディング外壁と違い、塗り壁を選ぶ人は白やアイボリーなど淡い色味を好む方が多いでしょう。明るい色は「汚れが目立つ」と感じやすいのかもしれません。

あらかじめ年数に応じたメンテナンス時期を知り、塗り替えなどで外壁をメンテナンスすることで汚れの目立ちも緩和できるでしょう。

職⼈によって仕上がりが異なる

サイディング外壁の場合、ボードを張っていくだけなので、携わる人の違いで極端に完成度が異なることはありません。

でも、塗り壁は職人の手作業で完成させる外壁で、“どんな技術を持つ職人が塗るか”で仕上がりが異なります。

当然のことですが、経験値が少ない未熟な職人が塗れば、見栄えが悪くなる可能性はもちろん、耐久性まで劣ることも考えられます。ただ、塗り壁の施工事例が豊富な会社に依頼すれば、確かな腕を持つ職人が塗ってくれるので、仕上がりの満足度が高まるでしょう。

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外壁に使われる塗り壁材の種類

外壁に使われる塗り壁材の種類

塗り壁は、素材の違いでいくつかの種類があります。外壁に使われる代表的な塗り壁について、ご紹介します。

土壁

  • ・主に土を主原料としている
  • ・自然素材で健康面でも安心感がある
  • ・土の混合状態で風合いに変化を出せる
  • ・防音性や調湿性、防火性が高い

「土壁」という言葉を聞いてイメージできる方も多いと思いますが、日本では昔から馴染みがある外壁です。

土に、砂やわら、藻などの自然素材を混ぜて作るので、シックハウス症候群のリスクをおさえられるメリットも。最近は、屋内でもよく使われています。

身近な自然素材である土が持つ、温かみと穏やかさ。独特な風合いが年数の変化とともに、味わい深さも増してきます。

漆喰

  • ・石灰を主成分としている
  • ・光沢があってなめらかな質感が叶えられる
  • ・ヨーロッパデザイン住宅との相性が良い外壁
  • ・防火性と耐久性、防カビ性に優れている

漆喰も日本では昔からある壁材で、お城や神社などで使われています。気候風土や建築様式に合わせて素材や塗り方にこそ違いはありますが、漆喰は海外でも見られる外壁です。

特に、ヨーロッパデザイン住宅では外壁や内装にも漆喰を使うことが多く、白い輝きと滑らかな質感に心奪われる人が多いでしょう。

海外デザインの住宅との相性がよい漆喰は、近年、家づくりでも人気があります。

また、漆喰塗り外壁に年数の経過とともに起こる変化は、古くなっているというよりも自然の流れにまかせて味わい深さが増しているとも言えるでしょう。

モルタル(ジョリパット)

  • ・セメント、砂(細骨材)、水が原料
  • ・原材は全て不燃性

モルタル外壁の仕上げ塗材としてよく使用されるのがジョリパット。外装用や内装用など、塗る場所によってたくさんの種類があります。

そして、塗り壁にはひび割れしやすいという難点がありますが、ジョリパットは柔軟性があり、下地に追従してひび割れを起こしづらいのも特徴です。

独特のざらざらした表面がジョリパットの大きな魅力で、目を奪うような煌びやかな艶はないものの、高級感のある外壁となります。

また、ジョリパットの種類によって違いはありますが、カラーバリエーションが豊富で100以上もの色から選ぶことができます。

塗り壁の仕上げ方法にも種類がある

塗り壁の仕上げ方法にも種類がある

塗り壁は仕上げの方法によって、かなり印象を変えることができます。

吹き付け

「スプレーガン」に入った塗料を外壁に均一に噴射しながら塗っていく方法です。

霧状の塗料をまんべんなく塗装できるので、段差や細かな凹凸部分にも綺麗な塗装が実現できます。

吹き付けとは言っても、細かな粒子によるざらざらした表面が特徴の「リシン吹き付け」、リシン吹き付けよりも大きな模様で厚みのある「スタッコ吹き付け」などがあります。

両者の見た目は似ていますが、成分や厚みのもたせ方がやや異なります。

リシンでは細かな石などの骨材が混ざるのに対し、“化粧漆喰”とも言われるスタッコでは骨材は使いません。スタッコの方が厚みもあり凸凹の表情が大きく見えるため、より立体感が得られるでしょう。

ローラー

塗料を含ませたローラーを転がすように塗り仕上げていく方法です。

ローラーは塗料が飛び散りにくく無駄なく塗ることができ、塗料の希釈率を低く塗れるため、塗膜に厚みをもたせやすいメリットがあります。

最近はDIYでローラーを使った塗装をする人も増えていますが、塗装前に下地を整えることや、細かな部分まで均一に丁寧に仕上げるには、職人の腕が大きく関わってきます。

コテ

コテに塗った塗り壁材をさまざまなパターンで塗り仕上げることができます。塗ったときに“コテ波”と言われる跡による模様が生まれる、味わいのある塗り方です。

コテの動かし方によって模様のバリエーションはたくさんありますが、綺麗な模様ができるように塗るのは高度な技術がいり、職人の感性と技術力が表れる塗り方です。

半円の曲線ラインが美しい扇状の仕上げは、シンプルですが高級感がある外観になります。エッジをきかせて直線のラインをつけることで生まれる立体感が魅力のスパニッシュ仕上げもあります。

コテを持った手を大きく動かすか、小さく動かすかで、模様も変わり、アレンジのバリエーションは無限大。できた模様によって外観の表情にも違いが見られます。

塗り壁の外壁を使った優れたデザイン住宅の施工事例

参會堂では数多くの住宅に塗り壁を採用してきました。そのなかから、デザイン性と美しさに優れた施工事例を3つご紹介していきます。

ナチュラルな塗り壁に赤いガレージ扉が映える外観

ナチュラルな塗り壁に赤いガレージ扉が映える外観-1

モルタルの上に、吹付仕上げで塗装を施しました。

全体的に白を基調とした穏やかでナチュラルな色合いの外壁、そしてガレージの扉のエネルギッシュな印象の赤の鮮やかさが映える配色です。

職人が手仕事で仕上げるため、細かな段差をつけたり、R壁をキレイに出すことができました。

シャープなラインでスタイリッシュな形状の建物、ブラックの窓枠がきりっとした印象の縦長の窓、そしてRの曲線を取り入れた外壁への装飾、大きなガレージ扉の存在感のある色味…。

形状や色などのコントラストによってさまざまな表情が加わり、インパクトのある魅力的なファザードとなりました。

ナチュラルな塗り壁に赤いガレージ扉が映える外観-2

吹き付けによる仕上げは、外壁表面の凹凸にまんべんなく塗料を散布し、立体感とともに細やかな表情を感じさせることができます。

アイアンの門扉やガレージ扉の上部に施された唐草模様のさり気ない装飾は、黒という重厚感により優雅でエレガントなアクセントに。

外壁は全体的に淡い色合いながらにも、アイアンやブラケットライトなど壁に施された黒い部分も相まって、重厚感と高級感が演出された外観となりました。

塗料の独特の風合いと模様がおしゃれな塗り壁

塗料の独特の風合いと模様がおしゃれな塗り壁-1

モルタルの上に、左官仕上げの塗装を施しました。コテ波でテクスチャをつけ、塗料の独特の風合いを演出しています。

波のような模様が全体的に広がり、ひとつひとつが自然でシンプルなのに味わい深さも感じられる仕上げの外壁です。

屋根瓦やサッシの木枠が塗り壁とマッチする色味で、全体的に温かな印象となりました。

1階の開口部はRの曲線で柔らかく、そして2階のサッシの並びは直線のラインでシャープというように、窓の配置やデザイン形状にまとまりが感じられます。

塗料の独特の風合いと模様がおしゃれな塗り壁-2

テクスチャが単一ではなく塗り跡の凹凸が演出され、ボリューム感とハンドメイド感がある仕上がりの外壁です。

曲線で描かれた模様は上品で趣があって、ひとつひとつが独創的。光の加減によって陰影の出方も異なり、時間帯によって色合いも変化します。

外壁のアイボリーの淡い色味も相まって、全体的に落ち着いた雰囲気の外観となりました。

光のあたり方で様々な表情を見せる塗り壁

塗り壁への光のあたり方で様々な表情を見せる外観-1

こちらの住宅の外壁は吹き付けによる塗装を施して仕上げました。

手作業で仕上げていくため、太陽の光を受けているとき、少し曇って光があたらないとき、日が沈んで照明がともされているとき…というように、光がどんな風にあたるかで表情がさまざまです。

アプローチには外壁と同系色の色味のタイルで階段を設け、玄関までを緩やかに和やかにつなぎました。

塗り壁への光のあたり方で様々な表情を見せる外観-2

基礎の高さも相まって、存在感のある壮大な外観となりました。

外壁の中央に、1階と2階にそれぞれ光を取り込める大きな開口部を設けています。サッシの木枠とウッドデッキの木材の色味は、アイボリーの優しい色の外壁とのコンビネーションが良く、全体的に穏やかな表情の外観となりました。

吹き付けにより、外壁には玉のような壁材が密着し、乾燥後には凸凹による立体感と高級感を作り出してくれます。

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塗り壁の費用相場と正しいメンテナンス方法

塗り壁の費用相場と正しいメンテナンス方法

次に塗り壁の費用相場とメンテナンス方法についてお話します。美しい塗りの表情を長く楽しめるように、定期的に正しくメンテナンスすることが大事です。

塗り壁の費用相場

お伝えしたように、ひとくちに「塗り壁」と言っても種類はさまざまです。しかも、仕上げ方も異なり、比較的施工がしやすいものから、職人の腕が問われる難易度の高いものまであります。

どの塗材で塗るか、そしてどんな方法で仕上げるか、さらには家の形状や塗る面積、職人の腕などによって塗り壁施工の費用は大きく変わります。

つまり、同程度の面積の家でも、「複雑な形状の建物」「難しく手間がかかる仕上げ」など金額が高くなる要因があれば、全体的な費用もアップします。

明確な相場がないのが塗り壁なのです。

塗り壁の効果的なメンテナンス方法

塗り壁は経年によって味わいに深みが増す外壁です。

しかし、塗膜は年数とともに劣化するため、定期的な塗り直しを実施することで塗り壁を美しい状態で保つことができます。

サイディングなどの外壁の場合、塗装時には塗膜についた汚れを落とす目的で高圧洗浄機を使いますが、デリケートな表面の塗り壁では高圧洗浄機は使えません。小さなひび割れや欠けは、丁寧に細かく手作業で補修することが大事です。

塗り壁は住宅の外観デザインを大きく高める

塗り壁は住宅の外観デザインを大きく高める

塗り壁は、ご自身の理想をデザインに反映させてオリジナルデザインの外観づくりができます。

職人が綺麗にしっかりと仕上がるように、想いを込めて仕上げる塗り壁。時間をかけるからこそ、完成したときの満足度は高いでしょう。

ただ、塗り壁の左官仕上げは“どんな職人が塗るか”で完成度が異なります。

経験豊かで高い技術を誇る職人なら美しく仕上げられるものが、未熟な人が塗るとデザイン性が悪いばかりか、耐久性まで落ちる可能性もあるでしょう。そのため、塗り壁の魅力を最大限に引き出すには信頼に値する技術を持った会社への依頼が必須です。

参會堂は海外デザイン住宅を30年以上設計してきた実績がございます。

「ほかの外壁とは違った個性を演出したい」「自分がイメージする建物に合った塗り壁を教えてほしい」など、新築の外壁に塗り壁をご検討しているときはお気軽にお問い合わせください。

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参會堂は、1992年の創業から一切の妥協を許すことなく建築と向き合ってきた、海外デザイン建築を得意とする設計事務所です。

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