まるでヨーロッパ住宅のようなおしゃれなモールディング。インテリアに採り入れるとワンランク上のデザイン性の高い内装となります。
家づくりで採り入れてみたいと思いつつも「どんなモールディングがイメージに近いか分からない」「憧れるモールディングはどこにお願いしたらいいのだろう」など、モールディングを採り入れたいものの、イメージが掴めていない方もいらっしゃるのではないでしょうか。
今回は、モールディング装飾を採り入れたインテリア空間に憧れをお持ちの方や、おしゃれな空間のインテリア実例を見たいという方に、ヨーロッパ住宅施工歴30年の参會堂が施工実例をまじえながら詳しい観点で“モールディングをお伝えしていきます。
目次
インテリアのレベルを高めるモールディングとは
モールディングとは、建材や家具などに施された立体感のある装飾のことを言います。
「天井と壁のつなぎ目」「床と壁のつなぎ目」といった内装材、ドア枠、窓枠、腰壁、壁全体、家具などにモールディングを施すとインテリアのレベルが一層高まります。海外建築でモールディングが施される主な箇所は、日本では、廻り縁(天井と壁の上部が接する部分)や巾木(床と壁の下部が接する部分)にあたります。
ただ、日本ではシンプルで凹凸のない平べったい部材が多く、室内での印象は薄いです。
壁紙の端を内部に隠して綺麗に見せる、そして捲れにくくする、または掃除などの際の衝撃を和らげるなどといった実用的な役割などが重んじられ、あまり目立たないデザインが一般的。
海外では、モールディング装飾で空間演出をし、インテリアのレベルを高めるためというような装飾目的で活用されるケースが多いです。モールディングを採り入れることでインテリア性が高まるのは、凹凸によって模様や陰影ができるからです。
廻り縁や巾木など目立たない部材も、モールディング装飾で幅や形状に特長を持たせることで“存在感”が際立ちます。
一般的な廻り縁や巾木サイズよりも少し大きめにするだけでも豪華です。また、腰壁部分、壁前面にモールディングを施したパネルにすると、一層存在感のある装飾になります。
モールディングの模様やサイズなどの組み合わせで、空間づくりの中心的存在になるとも言えるでしょう。
おしゃれなモールディングの装飾方法
ひとくちにモールディングと言っても、どこに採り入れるか、範囲はどのくらいか、どんな形状かなどによって仕上がりが変わります。
モールディングは、もともと古い時代の西洋建築がルーツで、海外ではインテリアに欠かせない装飾材です。陰影が生み出すおしゃれなモールディングの装飾方法をいくつか見ていきましょう。
アーチ壁をモールディングで装飾
それぞれ空間は繋がっていて各部屋からお互いに視線が抜けるものの、垂れ壁を設けて仕切られています。
一般的な垂れ壁と言えばストレートのラインですっきりしますが、平凡となりがちです。
こちらのお住まいのようにアーチ状にすれば、温もりや優しい印象が加わります。
アーチ状の垂れ壁には、モールディング装飾を施しました。アーチが描く柔らかな曲線により、エレガントで上質な空間となります。
装飾により曲線が力強く、アーチ壁を通じて見えるインテリアが絵画のように芸術的です。
通路下の両側の壁面にもモールディング装飾のパネルを施しています。凹凸のない一般的な垂れ壁と比べると、空間に与えるモールディングの効果が実感できますね。
床材の一部にモザイクタイルを使い、上部にはアーチ壁の丸みのあるライン、窓に取り付けられたギャザーを寄せて連なった半円状のカーテン。形状にコントラストが感じられつつも、全体的にまとまりがある空間となりました。
まるで美術館を思わせるような雰囲気です。
多角形リビングの壁面をモールディングで装飾
壁面パネルにモールディングを施しました。
テレビを配置する部分を少し凹ませ、すっきりとした印象に。収納扉も同じモールディング装飾で、壁面全体に一体感があります。
天井や壁全体を白い色にするとシンプルになりがちですが、モールディング装飾を施したことで立体感が生まれました。
多角形のリビングには、傾斜のついた吹き抜けがあり、天井との境となっている部分に廻り縁も兼ねたカーテンボックスを設置しました。
モールディング装飾が施されたカーテンボックスにカーテンレールが隠れることで、すっきりした印象となります。
無垢フローリングの艶めいた質感には重厚感があり、そこにモールディング装飾の上品さがプラスされ、全体的にまとまりのある空間となりました。床中央をヘリンボーン貼りとし変化をもたせたデザインとしています。
ホールの廻り縁にモールディングを装飾
壁面と天井との境にクラウンと呼ばれるモールディング、床材との境にベースボードと呼ばれるモールディングをそれぞれ施しました。
ベージュ色の優しい壁面とホワイトの上品な天井。どちらも淡い色合いで、ともすればぼんやりしてしまうかもしれません。廻り縁から天井に向けて数段のモールディングが装飾され、天井と壁との境目が美しくなり、ホワイトが基調の空間にアクセントをもたらしてくれました。
中央のニッチにもブラウンの細いモールディングを施し、両サイドにあるドアのブラウンと同じ色ですから、まとまりが感じられます。
ニッチとは、壁を凹ませ空間を作り、収納として活用できる飾り棚のことです。単に壁を凹ませただけでは、壁との境目が分かりづらくぼんやりすることも…。こちらのお住まいのニッチのように、囲い部分にモールディング装飾をすると額縁のようになります。
玄関ホールの中央は、扉を開けて一番に目につく箇所。一輪挿しを中央に置いただけでも、絵画のようにインテリア性が感じられますね。
モールディングと他素材の組み合わせが優れたインテリアを生む
モールディングは単一の素材だけでも独特な陰影によりランクアップした空間となりますが、異素材とのコラボレーションでさらに優れたインテリアを創り出します。
次に、ほかの素材との組み合わせによりモールディング装飾をいくつかご紹介します。
通路の入口に施したモールディングとモザイクタイル
通路部分の入口を囲うよう細かなサイズのモザイクタイルを組み合わせたモールディングを施しました。自然素材の大理石ならではの“本物の質感”。そして、1枚ずつ違う色味が生み出すデザイン性。木材とタイルが組み合わさることで叶う、高級感が演出されました。
同じ色合いを隣同士で並べ配置することで、このような美しいデザインができあがります。
モールディングはもともと、西洋の伝統的な装飾で細長い木材で陰影をつけるように施されるものでした。単色の同じ素材でも、仕上げによって陰影が感じられる不思議な装飾です。
最近では、このようにタイルなどの異素材を組み合わせによりデザイン性が高まったモールディングデザインも見られるようになりました。
通路の入り口にしっかりとしたデザインが入り、メリハリのある空間となりました。通路の奥には、腰壁の高さまでのモールディングも施され、奥行も感じさせてくれます。
モールディングとモザイクタイル
こちらは、トイレのドア枠に施されたモールディングです。シンプルとなりがちなトイレのドアですが、まるで額縁のようなデザインが施されたモールディングにより高級感が演出されました。
枠の周りには、ピンクや白、ベージュの小さなモザイクタイルを施しています。トイレの外の壁はピンク、入口の扉と枠は真っ白で優しく柔らかい空間です。
ところが、いざトイレのなかに入ると一気にエレガントな雰囲気に…。壁の下半分と床には、黒く輝く大理石が敷き詰められています。
上半分は真っ白。上下でモノトーン色を使い対照的な色味ですが、重々しくならないのは入口の真っ白なモールディング効果かもしれませんね。
また、天井と壁との境には、黒い色に塗装したモールディングを使い、部分的なアクセントを施しています。より重厚感のある意匠性の高いモールディングです。
モールディングと玄関ホール照明
折り上げ天井の内側には茶系の細やかなサイズのモザイクタイルを貼り、中に取り付けられた照明の色味との相性がぴったりです。
一段上がってできた空間に照明が取り付けられたことで、オレンジがかった暖かみのある灯りが上側と空間内部へとも柔らかく反射。周りをモールドで取り囲んだことでインテリア性が高まりました。
照明周りはもちろん、天井や壁に施されたモールディングの効果も相まって、数色だけでまとめられた上品な玄関ホールとなりました。
モールディングを活かしたインテリア実例3選
これまでに参會堂が手掛けた建物にも、モールディングを活かした装飾がたくさんあります。
そのなかから3つピックアップしまして、詳しくご紹介していきます。
吹き抜け天井とゴージャスなモールディング装飾
吹き抜け天井のあるお住まいです。全体的に白が基調となった上品な空間となりました。
何枚も設けられた窓ガラスからは自然光が柔らかに差し込み、大理石に反射し明るい空間になっています。日中は照明がなくても十分な明るさで、ソファーに座って見上げたとき、優しい光に包まれた極上のひと時が過ごせることでしょう。
天井中央には、上品なシャンデリアを取り付け、さらに明るさを補う形でモールディングに沿うようにスポットライトを設けています。夜になれば、シャンデリアの温かみのある光のなかで素敵な時間が過ごせそうです。
吹き抜けを囲うように設けられた廊下部分には空間全体のアクセントとなるアイアン素材の手摺りが設けられています。
根本部分に取り付けられた白いモールディングは、シンプルながらにもアイアンの手摺りをしっかりと受け止めるようなデザインです。
石貼りの壁面は「暖炉の部分」と「絵画の部分」を分けるように、中間にモールディング装飾を施しています。細かいモザイクタイルで模様を作るように丁寧に並べました。
宮殿を彷彿とさせる白い柱が特徴的なリビング
ホールから一段下がったスペースに配置した広々としたリビングです。
宮殿を思わせるような白く丸い柱がいくつもあり、上部の通路をしっかりと支えています。
上部に吹き抜けるような大空間となりました。かなり大きな空間でシャンデリアが2か所設けられています。シャンデリアの灯りは暖かみがあり、照明としてはもちろんですが、空間に高級感をプラスする存在にもなっています。
モールディングの細長い部材がバランスよく装飾された壁面が存在感を放っています。中央には、モザイクタイルで描かれたデザインがまるで額縁のように空間を彩ります。
アイアン手摺り・玄関ドアの唐草模様や、シャンデリアのライトをささえているラインともよく似たデザインで、優しい印象を受けます。色味も主張し過ぎることがなく、周囲との調和も感じられますね。
暖炉の周りはマントルピースと呼ばれる飾り棚を取り付けました。淡いベージュとピンクの色味は周囲とのなじみも良く、お客様のコレクションを一層美しく飾ってくれる棚です。
全体的に優しい色調のリビングのなかに、アイアンの黒、床の中央に施された黒系の大理石…がアクセントとなっています。
海外を思わせる上質な空間のなかにも、黒を採り入れることで引き締まり、モダンな印象をも受けることができます。
また、天井と壁面の境には、周囲となじむ白のモールディングで境目を強調しています。さり気なくも存在感のある装飾を施しました。
大理石とモールディングを使ったクラシカルな住まい
ホールの床材に、ベージュ系の大理石を採り入れたお住まいです。
自然から採取された大理石は、色味とすじが作り出す模様が石によって1枚1枚異なります。
並べ方によって、“空間”にもたらされるデザインへ影響するため、バランスよくまとまりをもたせた配置にしています。
周りの白を吸収しながら空間へ光を放つ鏡面仕上げの大理石。ホール一面に広がり、気品あるスペースとなりました。
こちらのお住まいには、床から高さを設けて「パネルモールド」と呼ばれるモールディングを施しています。腰壁ほどの高さまでモールディングを取り付け、壁全体の下部に重厚でエレガントな雰囲気が漂ってくるようです。
それでいて床材や壁面の色合いとなじむような白色ですから、空間に与える優しい印象も兼ね備えています。
装飾をし過ぎると全体的にミスマッチとなりかねません。パネルモールドでの装飾は一部分だけに留め、それ以外はスムースな表面でシンプルな壁面です。
しかしながら、黒のアイアン手摺りや重厚感のある玄関扉、美しいラインで描かれたデザインを持つ室内扉…というように、それぞれのアクセントが際立っているのは白く上品な壁の色による効果と言えるでしょう。玄関扉を開けた瞬間から、居心地の良い空間が広がります。
また、白い室内扉にもモールディング装飾を施しています。枠には、「ケーシング」と呼ばれるモールディング装飾です。
扉そのものが額縁に収まっているかのような装飾となりクラシカルな雰囲気を醸し出します。
理想のモールディングインテリアを実現しよう
インテリアを高めるモールディング装飾は、上質とおしゃれをプラスしますが、存在感のある部材だけに高いデザインセンスが求められます。
上品に魅せるか、それともゴージャスに魅せるか、それともアクセント程度でいいか…。
モールディング装飾をどのようにインテリアに活かしたいかは、お客様がイメージするそれぞれの空間の雰囲気に合わせていくことが大切。
まずは、自分が理想とするモールディングデザインを見つけるところから始めましょう。モールディングの厚みやデザインによっては、それだけで存在感のある装飾となります。
しかし、壁紙や床材、家具などのインテリアとの相性も考えなくてはなりません。
モールディングを採り入れるとおしゃれな雰囲気にワンランクアップしますが、それには空間デザインを知り尽くした高いセンスと設計力が求められるのです。
参會堂は、モールディングを空間に採り入れた海外デザインの家をこれまでにたくさん手掛けてまいりました。現地のデザインを知り尽くした海外パートナーシップにより、こだわりの空間演出も可能です。
豊富な施工実績を持つ参會堂なら、あなたの理想とするモールディングを使った空間を実現することができます。「モールディングを採り入れたいけれど自分のイメージをどんな風に伝えたらいいか分からない」というように、イメージが掴み切れていないときでも構いません。
一緒にモールディングについてイメージを膨らませ、素敵な家づくりをしてまいりましょう。
参會堂が創り出す「唯一無二」の独創空間
参會堂は、1992年の創業から一切の妥協を許すことなく建築と向き合ってきた、海外デザイン建築を得意とする設計事務所です。
どの建築会社にも真似できない秀逸な参會堂の建築デザインは、住宅設計のみならず、クリニック設計や土地活用・賃貸設計といった分野で、多くのお客様からご支持頂いております。
住宅設計なら「ずっと家に居たくなる空間」、クリニック設計なら「ホスピタリティが溢れる空間」、土地活用・賃貸設計なら「いつまでも色褪せない魅力を放つ空間」と…。参會堂は、それぞれのお客様のご要望に合った価値を生み出し、ご提供しております。
一切妥協のない本物の建築技術、心躍るような唯一無二の空間をお求めの方は、是非その夢を参會堂にお聞かせください。