クリニックの建築・開業は、たくさんの患者様が満足できるような高級感のある雰囲気に、洗練されたデザインにして他の病院とは差別化を、など様々な考えが満ち溢れてきます。
ただ、普通の家づくりとは違い、デザインや間取りの考え方、素材選びはもちろんのこと、クリニックには「医療を行う建物」として建築において守るべき要素もあります。クリニックの建築をお考えの先生にとっては、
- 「自分の理想をすべて叶えるのは難しいかもしれない」
- 「詳しくサポートしてくれる設計事務所はあるのだろうか」
- 「開業したものの、患者様が来てくれない結果になったら…」
など不安や疑問も多いことでしょう。
クリニック経営の成功には、患者様が来たくなるよう建物を作れる設計事務所を見つけられるかが大きな鍵を握っていると私達は考えています。
今回は、参會堂がこれまでに設計したクリニックの施工事例とともに、設計事務所の選び方、そして「クリニック」という建物の考え方について詳しくお伝えしていきます。
目次
クリニック開業の成功に必要な正しい設計事務所選び
クリニック経営を成功させるための設計事務所選びで大事なポイントが「患者様の視点での設計」「実用性とデザインの両立」「クリニック設計の実績が豊富」という3つです。それでは、ひとつずつ見ていきましょう。
患者様の立場になって考えられる設計事務所を選ぶ
いかにも病院という無機質な空間は、気づかぬうちに患者様の気持ちにプレッシャーをかけてしまいます。
クリニック設計には、見た目、エントランスや廊下の幅、診察室の広さなど、患者様への配慮が必要な箇所が多々あります。やはり患者様の立場になり、また来てくれる空間づくりを大切にしている設計事務所選びをすることがコツです。設計事務所がデザインしたいことを推し進めるのではなく、「どんな建物にすれば患者様が安心して来院してくれるだろうか」と患者様の気持ちに寄り添える設計事務所を選びましょう。
実用性とデザインを両立できる設計事務所を選ぶ
設計事務所が素敵なデザインのクリニックを建てられれば、患者様の心を惹きつけることができます。ただし、度を超えたデザインや色使いは、別の意味で注目の的となってしまいます。
外観は、働くドクターやスタッフが持つ「患者様への心遣い」を表現できる部分です。
患者様が来院したとき、初めに見るのは外観や、中に入ったときの内装です。中に入るのを躊躇ってしまうような、世間的なクリニックのイメージとあまりにもかけ離れたデザインは逆効果です。
クリニックとは思えないような大胆なデザインやカラフルな配色は、患者様の心の緊張を解きほぐすことができません。
もうひとつ大事なのは実用性も考えられる設計事務所選びです。クリニックが持つ本来の目的は“医療”です。
たくさんの人を感動させられるような高いデザイン性を有していても、設計事務所が医院での業務を理解していないと最終的に失敗と言わざるを得ない設計になることがあります。「ドクターやスタッフの仕事がやりづらい」「患者様が動線に不便を感じる」とならないように、デザイン性と実用性の両方を意識した設計ができる設計事務所を選ぶことが大事です。
クリニック設計の実績と経験が豊富な設計事務所を選ぶ
特定の家族だけが過ごす一般住宅とは違い、クリニックでは毎日のように多くの患者様が来院し、診察や検査を行います。
体調を崩されている方、歩くことにさえ不安を抱えている方、車椅子で来院した方、赤ちゃんを連れた親御さんなど、さまざまな人が建物内で過ごすことになります。
優れた設計事務所なら、建物内で過ごす人数や特徴が「クリニックと一般住宅では根本的に違う」ことを理解しています。
また、クリニックと言っても、診療科はさまざま。例えば、整形外科や内科は高齢の患者様が多く来院します。
少しの段差でもケガにつながるので、バリアフリーにするのはとても重要です。診療科によって違った視点を持てる設計事務所なら安心でしょう。
クリニック設計の経験豊富な設計事務所なら、そんな背景も理解できています。
これまでに多くのクリニックを手掛けている設計事務所は、「何が重要ポイントか」「何に気を付けるべきなのか」などのノウハウも持っています。開業するときは、クリニック施工に長けている設計事務所を探すことがポイントです。クリニック経営を成功させる上で必要な設計デザインの考え方
クリニック建築では、設計事務所選びも大事ですが、同時におさえておきたいポイントが経営を成功させるための「設計デザインの考え方」です。
患者様のクリニックに対する第⼀印象は建物
患者様がクリニックに対してどんな第一印象を抱くかは「建物」で決まります。
クリニックを訪れる際、自分の体調への不安はもちろん、「初めて入る」という緊張を感じている患者様。スタッフの対応よりも先に、建物から感じ取る雰囲気が患者様の心を大きく変えることになります。
- 「広々としたエントランスで入りやすそう」
- 「明るく開放感のある空間に心が和んだ」
- 「明るく開放感のある空間に心が和んだ」
優れた設計事務所なら、患者様の心を落ち着かせ、和やかなものへと導いてくれるでしょう。
現代人がクリニックに求めるのは、暖かみや親しみやすさ。これが建物に表現できる設計事務所を選べば、患者様の第一印象を損なうことがありません。
クリニックならではの清潔感や美しさを表現しつつ、そして何よりも患者様の安心を叶えられる設計ができる設計事務所なら、患者様に好印象を抱いてもらえるのです。
患者様に「また行きたい」と思ってもらえるデザインに
患者様が再び訪れたいと思えるデザインにできる設計事務所選びもポイントです。
クリニックは診察するために訪れる場所。ドクターの診察やスタッフの対応などが満足できれば、基本的には「もう来たくない」とは思いません。
ただ、いくら診察内容に満足しても、建物の居心地が悪ければ、次の来院は気が進まないものです。当然ですが体調にご不安を抱えている患者様にとっては、待つ時間が長いのはストレス。
そんなとき、目の前や横を何度も人が行き交うような圧迫感のある空間では落ち着きません。名前を呼ばれたときに「どこを通ればいいのだろう…」というくらい、周囲との間隔が密着していると動線も悪く、患者様の動きにも差し支えます。
待合室のゆったり落ち着いた雰囲気、目を楽しませてくれる内装、そして受付や診察室への動きがスムーズなデザインができる設計事務所なら、待っている間、診察中…と、どんなときでも居心地が良い、そんな空間をデザインしてくれます。
業務効率やプライバシー管理にも気を配る
クリニック経営の成功には、業務効率やプライバシー管理も配慮できる設計事務所を探すことがコツです。
設計事務所が建てた建物の外観・内装への患者様からの満足度が高くても、業務効率が悪くなるようでは、ドクターやスタッフのストレスにもつながります。病院内での動線が悪い場合、業務が滞ったことによるストレスが自然と患者様へと伝わり、不快に感じさせることもあります。
クリニック内では、「ドクターやスタッフの動線」「患者様の動線」が混ざり合って発生します。しかし、動線を考えない設計事務所の場合、完成したクリニックはお互いにぶつかり合う形の箇所が目立ち、「業務の効率の低下」を招くのです。
クリニックらしく、それでいてドクターが思い描くデザイン性と業務効率も大切に考えた設計ができる設計事務所の存在が欠かせません。
また、プライバシー管理についても理解している設計事務所であることも求められます。
患者様の中には、なかなか人には話しにくい悩みや病状を抱えている方も多いです。
ところが、診察室の防音性が劣ることによって、「外で待っている他の患者に聞こえないだろうか」と患者様自身が診察での会話に消極的になる可能性もあるのです。
患者様のプライバシー管理にも十分に配慮できる設計事務所の存在が不可欠です。参會堂の“患者様が足を運びたくなる”クリニック施⼯事例
それでは、私たち参會堂がこれまでにご紹介した内容にこだわりながら手掛けた、患者様が足を運びたくなるクリニックの施工事例をご紹介していきます。
上品かつスタイリッシュな外観のクリニック事例
こちらはクリニックの建替えの施工事例です。
こちらのクリニックは地域に寄り添った診療を行っているクリニックで、患者様が来院しやすいような工夫を施した設計にしました。
入口には手摺を設けた階段、そして車いすの方もスムーズに入れるように緩やかなスロープを設けています。
陸屋根のすっきりしたフォルムの建物に、外壁には“白”と“黒”のコントラストが上品でスタイリッシュな印象に。
洗練されたデザインのなかにも、入口近くの植栽により穏やかな表情で患者様をお出迎えできるファサードです。来院される方が安心できる空間づくりを…とのことで、待合室には様々な緑を配置しました。中央に存在するフェイクグリーンは一際大きくダイナミック。柱を覆い天井まで届く大きなインテリアが目を惹きます。
そして、取り囲むように設置したのは優しいフォルムの円形のソファ。患者様が待っている間の不安を取り除いてくれるように、形状にもこだわりました。
また、フローリングの木目の模様は、待合室全体を暖かい雰囲気に。フェイクグリーンの緑、そして木質の素材感の効果も相まって、室内にいるのに自然の中にいるかのような心地良さが感じられます。
スタッフの方の動線も重視し、圧迫感がなく、動きやすい広々とした空間に設計しました。
患者様が検査前にお待ちになる椅子の近くには、背の高いシンプルな観葉植物、そして内装の一部の壁面にはグリーンを施しています。ボリュームのある緑が目に入ることで癒し効果があると言われているインテリアの手法です。また、ルーバー天井という仕上げにより、隙間から除く照明が優しく空間を包み込みます。フローリングと天井に木を使い、一層柔らかい印象となりました。
患者様も、和やかな気持ちで検査室へ向かうことができます。
ヨーロッパを連想させるおしゃれなクリニック事例
こちらは、新設の産婦人科医院です。外観は3typeのデザインを組み合わせており、一つの建物がまるでヨーロッパの街並みに見えるようになっています。
出産のために滞在される方、その期間中に楽しい気持ちになれるようにとのご依頼でデザイン。あらゆるところに繊細で美しい工夫が施された建物となりました。
アプローチにはグレーで落ち着いた石畳や、オレンジ系のタイル貼りを施し、アイアン手摺の黒をアクセントにしています。縦長で採光性のある窓、三角形のドーマー窓などがバランスよく配置されるとともに、化粧柱やモールディング装飾を施し立体感のある外観に仕上がりました。
まるで、海外にやってきたかのような、おしゃれで素敵な外観。患者様がいらしたとき、一見して病院には見えないような優雅なデザインの建物に癒されることでしょう。待合室は2typeの空間を設計しました。
こちらは、ホワイトを基調にしたデザインの待合室です。折り上げ天井とし、奥行きと空間のゆとりが感じられるデザインになりました。
ダウンライトの柔らかい光が白い内装や美しいタイル床に優しく反射。心を落ち着かせながら、診察前のひと時を過ごせる穏やかな空間です。
こちらは、もうひとつのtypeの待合室。まるでカフェのようなおしゃれで優雅なデザインです。
照明はデザイン性の高いシャンデリアを設置。オレンジ色の暖かみのある光が待合室を照らしてくれます。
床材とテーブル・椅子を同系色でまとめ、落ち着いた印象に仕上がりました。縦長の窓は採光性が高く、さらには吹き抜けの効果も相まって、解放感に包まれたリラックスできる空間となりました。
モノトーンの色彩がセンスの良さを感じさせるクリニック事例
こちらは、訪問看護や訪問介護、デイサービス、ショートステイといった複合型のサービスを行う看多機施設の設計です。
白と黒、そしてグレーのモノトーンの色彩は、シンプルなのにセンスの良さを感じさせてくれます。平らな屋根で四角い建物の外観には、シャープで洗練された印象、そして清潔感も表現されました。
バルコニーの手摺にはクリアなガラスを使い、上品でおしゃれな印象に。採光性が確保され、開放感のあるバルコニーとなりました。
人が行き来する廊下は、動きが複雑にならないように直線状の長い廊下とし、患者様やスタッフの動線を考慮した設計にしました。清潔感のある白をベースにした内装で、明るく開放的な通路です。腰の位置ほどまでの高さに木材を使った腰壁を施してアクセントに。床の素材や色味とのバランスもよくまとまり、空間全体に立体感が生まれました。
歩行に不安を感じている人が真っすぐゆっくりと安心して歩けるように、掴みやすい形状と素材の手摺をバランスよく取り付けています。
室内は木目柄を使用し、暖かみのある空間デザインにしました。床材と壁面に広がる木材の暖かい素材感が、空間全体を優しい印象に仕上げています。
「真っ白」や「光沢のある素材」だと眩し過ぎると感じる太陽光も、木材なら優しく吸収。お部屋で過ごす方たちの目への負担もおさえられます。
また、断熱性や調湿作用を持つ木材を内装にふんだんに使うことで、お部屋の冷暖房効果も高まります。優しい穏やかな内装に仕上げ、デザインはもちろん、実用性も兼ね備えています。
クリニック建築を設計事務所に依頼する流れ
次にクリニック建築を設計事務所に依頼した際の流れについて、大まかにご説明していきます。
① ヒアリング
どんなクリニックを建築したいのか、設計事務所が規模や予算等をヒアリングします。参會堂では、具体的な方向性が固まっていない場合でも相談可能です。
② 調査
土地によって法律や条例などの詳しい内容が異なるので、それぞれの土地規制を設計事務所が入念に調査します。
③ プレゼン
ヒアリングや現地調査の上、設計事務所がデザインをプレゼンテーションします。
あくまでひとつの「案」であって、細かな点は今後じっくり打ち合わせを積み重ねて変更が可能です。
プレゼンにおいては、ご自身の理想やインスピレーションに合っているかをご判断ください。また、設計事務所からスケジュールや予算計画等が提案されます。
④ ご契約
プレゼン内容、予算計画、スケジュールなどにご承認頂き、設計事務所との契約が完了します。共に、より良いクリニックを建築してまいりましょう。
⑤ 設計
クリニックの外観から内装に使用する部材、どんな間取りにするかなど、設計事務所との具体的な打ち合わせを開始します。予算ともうまく調整しながら、間取りや部材の詳細を詰めていきます。
⑥ 申請
工事着手前には建築確認申請、保健所への開設届など、開業に際して必要な申請書類を各審査機関へ提出します。
⑦ 地鎮祭・施工
工事の安全祈願となる地鎮祭を行います。そして、いよいよ工事が始まります。決定した設計図を元に施工を行っていきます。
⑧ お引き渡し
建築が完了したら、審査機関や行政の検査により問題がないか確認します。施主様からもチェックしてもらい、最終的にお引き渡しとなります。
建物の差別化がクリニック開業の第一歩
開業したてのクリニックや初診のクリニックは、患者様にとって自身の体への不安と当時に「新しい場所に訪れたことの緊張や不安」をどうしても抱かせてしまいます。
そこで、清潔感があって雰囲気の良い外観や内装、患者様のことを考え抜いて設計された間取りを見れば、そんなマイナスな感情は一瞬で打ち消されるでしょう。「素敵な建物」「安心できる内装」「居心地が良い」というファーストインプレッションは、たった一度の訪問でもいつまでも心に残り続けるのです。
患者様がお待ちになる時間を「上質で優雅な満足感」に満ち溢れたものにできる、身体も心も癒すことができるデザインの設計ができるのは、クリニックを長年手掛けている設計事務所です。クリニックらしくない雰囲気、なおかつ居心地の良さが感じられれば、患者様は自然と「また足を運びたい」という気分に導かれます。
「行くのが億劫」ではなく、「行くのが楽しみになる」。
参會堂は、患者様の心に寄り添った設計をするために、敢えて「病院らしくない病院」を目指してクリニック設計を行っています。そこには、病院という概念に囚われすぎず、ほかのクリニックにはない自分の個性をクリニックデザインに取り入れることが大切です。参會堂では、これまでに長年、高級住宅を手掛けるとともに、クリニック設計も行ってまいりました。そんな参會堂だからこそ、開業なさる先生の想いを形できる柔軟発想や設計技術がございます。
「まだ具体的な内容が固まっていない」という状況でも問題ございません。
ともに、新しいクリニックに向けて、じっくりと形にしてまいりましょう。
参會堂が創り出す「唯一無二」の独創空間
参會堂は、1992年の創業から一切の妥協を許すことなく建築と向き合ってきた、海外デザイン建築を得意とする設計事務所です。
どの建築会社にも真似できない秀逸な参會堂の建築デザインは、住宅設計のみならず、クリニック設計や土地活用・賃貸設計といった分野で、多くのお客様からご支持頂いております。
住宅設計なら「ずっと家に居たくなる空間」、クリニック設計なら「ホスピタリティが溢れる空間」、土地活用・賃貸設計なら「いつまでも色褪せない魅力を放つ空間」と…。参會堂は、それぞれのお客様のご要望に合った価値を生み出し、ご提供しております。
一切妥協のない本物の建築技術、心躍るような唯一無二の空間をお求めの方は、是非その夢を参會堂にお聞かせください。