ガラス張りで優雅な印象、たくさんの光が入り込み明るく開放感があるコンサバトリー。
本来は植物を鑑賞する温室のような役割がありましたが、現代の住空間においては屋外と屋内の空間をつないでくれる多目的な魅力を持つ存在として家づくりでも注目されています。
ヨーロッパ発祥のコンサバトリーは魅力的で、
- 海外住宅のコンサバトリーに憧れる
- コンサバトリーの経験が豊富な設計事務所に依頼したい
- どんなコンサバトリーがあるのか事例を見てみたい
と家づくりの際に検討したい方もいるのではないでしょうか。
そこで、今回はコンサバトリーを取り入れた家づくりについて解説します。
これまでヨーロッパデザインの家づくりに数多く携わってきた参會堂が、コンサバトリーを取り入れた施工事例とともに、コンサバトリーのメリット・デメリット、設計のポイントを詳しくご紹介します。
目次
人気が高まっているコンサバトリーとは
まずは、コンサバトリーとは何なのかについてお話いたします。
コンサバトリーとは
コンサバトリーを一言で表すと「ガラス張りの空間」です。
発祥は18世紀のイギリスにまで遡り、もともとは上流階級の邸宅で多く見られました。果物や植物を冬でも貯蔵できるよう、“温室”の役割を担った空間だったと言われています。
初めこそ植物を育てる空間という目的でしたが、次第に“人がリラックスできる空間”として発展。近年では、住宅建築のトレンドの一部として採用する方も増えてきました。
天井や壁の全体、もしくは一部にガラスを使い、自然光をふんだんに取り込める明るい空間。ヨーロッパ建築ならではの、デザイン性も確保できます。
日本でも、庭とのつながりや自然との調和を重視する住まいが好まれるようになり、コンサバトリーの需要が徐々に高まりつつあります。
コンサバトリーの代表的な種類
コンサバトリーにはさまざまな様式がありますが、代表的なものは下記の3つです。
エドワーディアン様式
寄棟屋根と四方の壁で囲まれ、長方形や正方形といったシンプルな四角形を基本としているのが「エドワーディアン様式」です。
四角形をベースにしたシンプルな形は日本でもなじみやすく、それでいてクラシカルなデザインになるでしょう。
天井が高く開放感があり、家具のレイアウトがしやすい機能性も兼ね備えています。
ヴィクトリアン様式
八角形や六角形など“多角形”を用いたエレガントな雰囲気が「ヴィクトリアン様式」の特徴です。
イギリスにおいても伝統的なスタイルで、アーチの曲線や装飾性の高いフレームにより、英国の気品と華やかさを演出できます。
リーン・トゥ様式
いくつかの種類のなかでも温室の役割を持つ“原点”とも言えるべき様式が「リーン・トゥ様式」です。
片流れ屋根で家の外壁に寄り添う形でシンプルな形状をしています。限られたスペースにコンパクトに設置できるため、小規模な家でも採用が可能です。
コンサバトリーとサンルームの違い
“ガラス張り”といった共通点を持つ、コンサバトリーとサンルームですが、使う目的やデザイン性で異なる部分があります。
コンサバトリーの起源を考えると、植物や果物を太陽の光が差し込む暖かな空間で貯蔵する意味ではサンルームだった…と言えます。
その後、デザインや使う目的が発展を続け、ガーデニングをしながらティータイムを楽しむ、太陽の光に包まれながら外の景色を楽しむといった、屋内なのに外の感覚を味わえる“癒し”を目的としたスペースになりました。
イギリスの伝統的な建築のコンサバトリーはデザイン性が高く、建物に彩を添えてくれます。
今ではリビングなど室内の延長上にある“プラスαの空間”として広さも確保し、趣味的な使い方やリラックスして過ごせるような多目的な使い方ができると注目されています。
一方、現在で言うところの「サンルーム」は日差しを取り入れて室内を温め、主に洗濯物を乾かすといった実用性を重んじているケースが多いです。日本の家づくりにおけるサンルームは、広さもそれほどありません。
コンサバトリーとサンルームは、どちらもガラス張りで暖かい空間ですが、その目的や建築的なアプローチが異なっています。
とはいえ、コンサバトリーにサンルームのような「洗濯物を干す目的」を兼ねることもできます。日当たりも良いですから、換気さえしっかり確保できれば、洗濯物も乾きやすいでしょう。
ただ、基本的にコンサバトリーの主な目的は“リラックスできる癒しのスペース”。常に洗濯物を干して生活感を出すと、外観を損なうリスクもあるので注意が必要です。
コンサバトリーはあくまでも、家族の日々の生活に潤いをプラスさるものとして設計。ランドリールームなど衣類を乾燥させるための工夫が必要になってきます。コンサバトリーのメリットとデメリット
コンサバトリーは、住宅の外観に華やかなデザインをプラスしてくれる存在になるとともに、ライフスタイルにも新たな価値を見い出す存在になるでしょう。
一方で、美しい空間をキープするためのメンテナンスは欠かせません。
ですので、コンサバトリーを取り入れるメリットとデメリットを正しく理解したうえで計画を進めることが重要です。
コンサバトリーを取り入れるメリット
明るくて快適な室内空間を実現できる
コンサバトリー最大の魅力は「自然光をふんだんに取り込める」という点です。
太陽光が差し込むことで室内が明るく、心地よい雰囲気の演出が可能。リビングにつながる空間、“セカンドリビング”のような使い方が人気です。
コンサバトリーが「外と中」を繋ぐ間接的な空間となり、明るさも外気の伝わり方も穏やかになります。断熱の効果も得られるでしょう。
コンサバトリーはサンルームと比べると広々とした空間ですから、テーブルやチェア、エアコンなども設置して本格的な部屋のように使うことも可能。明るく和やかな空間で読書やティータイム、食事などが楽しめます。
特に、日照時間が短い冬場でも、窓越しに暖かな日差しを感じられるのは魅力です。
ライフスタイルに合わせた用途で活用可能
ガーデニングスペースとしてのコンサバトリーは人気ですが、ご自身のライフスタイルに合わせてそのほかの活用方法を見い出すことができます。
テレワークや読書、趣味の作業など、書斎のようにも使えます。明るい環境で、仕事の効率も高まりそうです。絵を描くことが好きな方なら、アトリエにするのも素敵です。
そのほか、子どもの遊び場やペットとの日光浴など“くつろぎスペース”として利用するのも人気の活用法です。
また、ひとつの部屋として活用できるコンサバトリーは、リビングの延長として日々の暮らしに使えます。
家族団らんの場がより広々となり、友人達を招いたホームパーティーの場としても重宝するでしょう。
景観を活かした特別な空間づくりができる
雨風、高温、低温といった悪天候に左右されることなく、自然の中にいるような不思議な感覚を得られるのがコンサバトリーのメリットです。
リビングに大きな窓があるだけでも外の眺望が得られますが、周囲がガラス張りのコンサバトリーはそれとは微妙に異なります。
ガラス面が多いので自然と同化するような感覚が得られます。
景観の良さが魅力的な立地の場合、コンサバトリーは自然の眺望を最大限に取り込める絶好の空間づくりができます。
四季折々の花や緑が広がる様子、そして夜になると屋内において星空を眺められる贅沢さは、コンサバトリーならではの楽しみ方といえるでしょう。
コンサバトリーを取り入れるデメリット
こまめなメンテナンスが欠かせない
コンサバトリーは“ガラス”で囲まれているため、どうしても汚れが目立ってしまう難点があります。
手が届きづらい箇所、特に天井に近くなるほどにご自身でのメンテナンスは難しいかもしれません。定期的に専門業者によるクリーニングを検討することが重要です。
また、経年によってフレーム部分の劣化やガラスにひびが入るリスクもあります。ふだんから細かな部分に目を向けておき、何ごともなくても定期点検を依頼しておくと安心です。
温度管理を考えた空調設計が必要
ガラス面が多いコンサバトリーは、「夏場には室内温度が上がりやすい」「冬場には熱が逃げやすい」といった問題が生じる可能性があります。
居室感覚で使えるコンサバトリーの魅力を損なうことなく、快適に利用できる工夫も必要です。
コンサバトリーを設置する際は、方角にも配慮しつつ、空間の温度管理を考えることが重要です。
床暖房やエアコン、シーリングファンなどの空調システムの導入も計画的に行い、夏の遮熱性能・冬の保温性能を確保できる設計が求められます。
また、直射日光が入り過ぎることを防ぐカーテンや、可動式のブラインドなども効果的です。日差しはもちろん、外からの視線のコントロールもできます。
コンサバトリーのデザインと設計ポイント
外観や内装、素材や家具選びなど、デザイン・機能性といったトータルのプランニングが欠かせないコンサバトリー。美観はもちろんですが、使い勝手の良い空間にできるように、細やかな配慮から設計していくことがポイントです。
デザインスタイルの選択
建物のデザインスタイルに合わせた、コンサバトリーのデザインを選択するのがポイントです。
洗練された都会的な雰囲気なら、モダンスタイルがおすすめです。金属のフレームやシンプルなカラー、直線的なフォルムで仕上げると高級感や重厚感が感じられる印象になります。
本場、ヨーロッパの伝統的な伝統的な建築を取り入れたいときはクラシックスタイルを選択するといいでしょう。
アクセントとして、装飾性の高いフレームやアイアン装飾などを取り入れることで、コンサバトリーが趣のあるものに仕上がります。
また、フレームや床などに木材など天然素材を取り入れると自然派な雰囲気に。自然素材は、ガーデニングの緑や、庭の景色など、ナチュラルな印象のコンサバトリーが完成します。
温かみのある空間づくりを目指すときは、自然素材を多用したデザインがぴったりです。
使用する素材へのこだわり
コンサバトリーの空間を快適に保つために重要なのは、断熱性・遮熱性に優れたガラスや建材選びです。
ガラスの面積が広くなるほどに外気温が室温に影響されやすくなります。そのため、熱を通過させづらい厚みの確保、フレームの素材への配慮が欠かせません。
たとえば、木製のフレームの場合、アルミや樹脂製よりも断熱性が高いという特徴があります。
また、屋根材にも、紫外線や雨の影響を及ぼしにくい、高品質な素材選びをしましょう。
ガラス、フレーム、屋根材などは素材によってメンテナンスのしやすさや見た目が大きく変わってきます。お住まいの建物のデザインとの相性もふまえつつ、選んでいくことが大事です。
空間のレイアウトと家具の配置
「コンサバトリーをどのように使いたいか」という、お住まいになる人が考えている主な用途に合わせて空間をレイアウトしましょう。
たとえば、リビングの延長として利用するなら、ダイニングテーブルやソファー、チェア、観葉植物などを設置しても、ゆとりが感じられる広さを確保することが大事です。
書斎や趣味の部屋として活用するなら、デスクや収納棚も充実させておくと便利になります。
直射日光の影響を受けやすいコンサバトリーという環境下に置く家具は、色あせ、UVカットなどの観点から、耐久性の高い家具を選ぶことをおすすめします。
また、プライバシーの保護も必要です。立地や建物の向きなどさまざまな条件から一概には言えませんが、ガラスが多いが故にプライバシーが気になる可能性もあります。
ロールスクリーンやブラインドなどを導入し、外の視線を遮る工夫を盛り込むことも重要です。日中、夜間によって変わる周囲の環境もふまえつつ、空間のレイアウトを計画すると安心です。
コンサバトリーを採用した参會堂住宅事例3選
参會堂では、コンサバトリーを取り入れた住宅も手掛けてまいりました。海外の要素を盛り込んだ美しいデザインのコンサバトリーの施工事例を3つご紹介してまいります。
白い内装が高級感溢れるコンサバトリー
大きな窓と天窓があるコンサバトリーには、多くの自然光が差し込みます。天井や壁、床、窓のフレームなど、全体的に白い内装でまとめたことで一層明るい空間となりました。
ダイニングルームに隣接し、空間に拡がりも与えてくれます。
ダイニングの床材はダークブラウンの天然木を選び、高級感のあるシックな印象。コンサバトリーの床材にはホワイトの大理石でエレガントな雰囲気。
扉を開けて空間がつながりつつも、床材の色味と素材を変えたことで、空間を緩やかに分けつつ繋がりも実現できました。
天井の一部からも光が入る設計とし、照明がいらないほどの明るさを確保。夜間にも使えるように、空間内を穏やかに灯してくれるスポットライトも取り付けました。
大理石のテーブルとグレーの椅子が配置された、エレガントなデザインの空間となりました。
テーブルの脚部には、黒メタルの細やかな模様が施され、高級感と重厚感をもたらす存在に。“丸”の柔らかな形をしたテーブルは白い内装との相性も良く、柔らかく優しいデザインが印象的です。
丸いテーブルはどこからでも座りやすく周囲の動線も良くなり、座った人同士がコミュニケーションを取りやすいメリットもあります。
コンサバトリーの明るく清潔感のある空間のなか、観葉植物のグリーンがアクセントとなっています。
多角形の勾配天井が特徴的なコンサバトリー
勾配天井の傾斜により開放感が生まれた多角形の空間です。高さのある大きな窓から差し込む自然光と白い内装も相まって、明るい空間となりました。
中央に飾られたバラの花、星形のメダリオンと吊り下げられたペンダントライトがロマンチックな雰囲気を演出しています。
多角形の間取りや星型という“角”を用いたデザインのなかにも、窓や通路の開口部にはアーチの曲線を描き、柔らかな雰囲気に仕上げています。
床には、スペインを彷彿させるオレンジ色のテラコッタタイルを採用。間取りの多角形となじむように、貼り方を少しずつ変えながらバランスよくまとめました。
中央部分には、白やオレンジ、グレーなど数色のモザイクタイルを使い繊細な装飾を施し、上品な空間のなかにも“華やかさ”を添えてくれる存在となっています。
スタイリッシュなデザインのコンサバトリー
こちらは屋上につくられたガラス張りのコンサバトリーです。
むき出しになった鉄筋に、高級感のあるメタルのファンライトを取り付けました。シャープな形をした羽根と光沢のあるシルバーの灯具。シンプルながらにもスタイリッシュでモダンなデザインとなりました。
ファンライトは空気循環の機能も兼ね備え、空間の温度を快適に保つことができます。
夜間にコンサバトリーを利用するときには5つの方向に分散した光が周囲を穏やかに包み、点灯していない日中には高いデザイン性により空間を彩ってくれる存在です。
屋上という高さのある場所からの眺望の良さ、ガラス張りによる開放感は格別です。
ガラスにより光が入りこみつつも、季節によって異なる外気の影響から守られた空間。カフェやお酒などの飲食も安心して堪能できます。
コンサバトリーの周辺には陽射しを遮るものがなく、光がたっぷりと入り込みます。都心の景色を一望できる空間です。
“ガラス張り”により、夜になると満天の星空を見上げることができる空間に。夜空の美しさを見上げながら、かけがえのない時間を満喫できることでしょう。
コンサバトリーの扉を開けると、木製のデッキに囲まれるように天然芝を敷いたスペースが広がります。
参會堂なら理想のコンサバトリーを実現可能
ガラスを通して自然との繋がりを実現し、光が緩やかに差し込む明るく開放的なコンサバトリー。屋内なのに、外と同化しているような不思議な開放感があります。
季節や天候を問わず、好きなタイミングで外の景色を眺めながら楽しめます。
サンルームよりも広い空間ですから、居室感覚での利用が可能。テーブルやチェアを置くことで、食事やカフェのスペース、書斎、趣味、読書、ガーデニングと多彩な目的で使える空間となるはずです。
ヨーロッパの伝統的なコンサバトリーは、長い歴史を経て発展したデザイン性の高さが魅力。家づくりに採用することで、日々の暮らしに“潤い”と“癒し”をもたらしてくれる存在になりそうです。
ただ、日本という風土に合ったコンサバトリーを美しく作るためには「単なるガラス張りの空間」ではいけません。春夏秋冬を通じて、高温・低温・多湿といろいろな環境に耐えうる性能も必要となってくるため、厳選した素材選び、メンテナンスなど多角的な視点での設計が求められます。
コンサバトリーを持つ家づくりの経験が乏しい設計会社への依頼は、そういった点を考慮に入れずに思わぬトラブルにつながるリスクもあります。参會堂は、コンサバトリー設計も経験豊富です。あなたが理想とする空間の実現のため、美しさやデザイン性、機能性など広い観点での設計をいたします。
参會堂のデザイン力と設計力があれば、あなたの理想とする空間の実現が可能です。
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