地中海のリゾート地にいるかのようなおしゃれな雰囲気があり、明るく、可愛らしい印象をもたらしてくれる“洋瓦”の屋根の家。
そんな魅力的な外観から、新築で家を建てるなら洋瓦にしたいと考えている方も多いのではないでしょうか。
しかし、
- 洋瓦にあった素敵なデザインの家を建てられるだろうか
- 日本の瓦と洋瓦は何が違うの
- 洋瓦にはどんなメリット・デメリットがあるの
と不安や疑問を感じている方もいるかもしれません。
後悔のない家づくりのためには、洋瓦の特徴はもちろん、メリット・デメリットを詳しく知っておくことが大事です。今回は、洋瓦を使ったヨーロッパ住宅の施工経験が豊富な参會堂が「洋瓦の家づくり」についてお伝えしていきます。
メンテナンスやトラブル事例などについても触れていきますので、これから洋瓦の家をご検討中の方はぜひご参考ください。
目次
洋瓦とは?形状と素材の種類
洋瓦は「瓦」という文字が入っていますが、日本で昔からある定番の“和瓦”とは見た目や特徴が異なります。近年人気の洋瓦について、和瓦との違いも交えて見ていきましょう。
洋瓦と和瓦の違い
洋瓦と和瓦の違いは、見た目から受ける印象です。
洋瓦は「明るく華やか」、和瓦は「重厚で落ち着いている」というワードがしっくりきます。
洋瓦は、オレンジやアイボリーなど明るい色味もあってカラーバリエーションがかなり豊富です。
一方、日本で昔から馴染深い和瓦は、黒や銀色などの落ち着いた色味で全体的に重厚な印象を受けます。おしゃれというよりも高級感と風格が感じられる屋根材と言えるでしょう。
また、洋瓦と和瓦は、形状にも違いがあります。和瓦は滑らかな曲線で“波のよう”、洋瓦はどちらかというと丸みのある形状です。
ただし、現在は日本で施工されている洋瓦も多く、丸みのあるものから、平坦なものまでさまざまあります。
洋瓦の形状
前述したように洋瓦の形状はいろいろあり、種類によって名称が違います。そのうち、日本でもよく採用される代表的な形状が「S型瓦」と「F型瓦」です。
S型瓦
断面がアルファベットの“S”のようなカーブを描き、丸みが強い形状をしている洋瓦が「S型瓦」です。「スパニッシュ瓦」とも呼ばれています。
単色の瓦をはじめ、ひとつの瓦に複数の色があらわれる瓦など、カラーバリエーションがたくさんです。焼き上がり方によって色味の出現のしかたが異なるため、個性が感じられる屋根になるでしょう。
スペインの爽やかな青空と地中海を彷彿させるような美しい暖色系が多いです。和瓦と比べると、より丸みのある形状で立体感のある屋根になるでしょう。
また、S型になった箇所は空間となるため、通気性を確保しながら保温効果も得られる形となっています。ヨーロッパデザインの住宅によくマッチし、個性的で味わい深さを求める方に向いた屋根材です。
F型瓦
平坦(フラット)な形状をしている洋瓦が「F型瓦」です。凹凸があまりなく平らなので「平板瓦」とも呼ばれることがあります。
凹凸のある洋瓦と比べると、シンプルですっきりとした印象になることから、見た目はとてもスタイリッシュ。洋風な外観はもちろん、和風モダンなデザインの家との相性も良いです。
また、フラットな面の屋根材であることから、ソーラーパネルを安定して設置するために採用されるケースもあります。
洋瓦のメリットとデメリット
次は、洋瓦のメリット・デメリットについて見ていきましょう。
洋瓦を採用するメリット
一般的な屋根材より耐久性が優れている
日本において和瓦は、長寿の屋根材として昔から知られてきました。主原料が「粘土」という点は、和瓦も洋瓦も同じです。
ただ、焼いたのちに釉薬を塗っているのが「和瓦」で、素焼きが「洋瓦」という違いがあります。
高温で焼き上げて仕上げた屋根材の「洋瓦」は、ほかの屋根材と比べると耐久性に優れています。環境によっても寿命の違いはあるものの、50年も長持ちするほどの“長寿”の屋根と言われています。
また、ほかの屋根材の場合、防水性を復活させるために定期的な塗装メンテナンスが必要ですが、粘土で焼き上げられた洋瓦は塗装が不要です。
通気性が良くて、断熱性も高い
洋瓦は丸みがある形状のため、屋根の下地となる野地板に防水シートをのせると間に通気層が設けられる構造になります。
空気の層で空気が流れやすくなるので、湿気がこもって家の躯体に悪い影響を及ぼすことをおさえられるでしょう。
また、外から伝わる「熱気・冷気」についても、空気層がワンクッション間に入ってくれるので断熱効果を高めてくれます。立体感のある瓦の形状は、暑さや寒さをコントロールしてくれる作用もあるのです。
デザイン性が高く、選択の幅が広がる
洋瓦の大きな魅力は、デザイン性の高さです。「S型」と「F型」のどちらの洋瓦かによっても雰囲気は異なりますが、家を華やかでおしゃれに彩ってくれる素敵な屋根材です。
また、カラフルな色味が多い洋瓦は、並べ方によってもデザイン性が高まります。
単色で全体を仕上げても明るく軽やかな印象に仕上げられますし、違った色の瓦を葺く「混ぜ葺き」にすれば一層おしゃれで個性のある面持ちになるでしょう。
ひとつの瓦が焼き上げられる段階で、自然に複数の色が生まれることもあります。
並べ方によって色味のグラデーションも変わり、施工する人の技量によっておしゃれで味わいのある印象の屋根に仕上げることが可能です。
洋瓦を採用するデメリット
通常の屋根材より多くの施工費用が必要
施工時に詳しい知識と技術が必要で手間がかかるため、洋瓦の施工費用は通常の屋根材と比較すると工事費用が高めになります。
ただ、設置時に高く感じても、メンテナンス頻度の少なさから考えると一概に高いとも言えません。
お伝えしたように、ほかの屋根材のような塗装メンテナンスが不要だからです。導入コストはもちろん、維持管理にかかるコストもふまえておくといいでしょう。
重量があるため、耐震対策の専門知識が必要
重量のある洋瓦は、耐震性に劣る点がデメリットと捉えられることが多いかもしれません。確かに、ほかの屋根材と比べても重い洋瓦は、地震時に揺れやすく弱点となりがちです。
そこで、洋瓦を施工するときは「重量」に耐えられることはもちろん、通常の家づくりよりも強靭な躯体を造ることが求められます。
耐震対策について深い知識を持つ設計者、瓦屋根の施工を知り尽くしている施工者に依頼することが大事です。
屋根に洋瓦が敷かれた参會堂の施工事例
参會堂では、洋瓦を採用した海外デザイン住宅をたくさん手掛けています。今回は、数多くの住宅から3つの施工事例をご紹介していきます。
アースカラーの洋瓦を採用した南欧スタイルの住宅
S型瓦の洋瓦を混ぜ葺きで仕上げた南欧スタイルのお住まいです。
瓦の色に選んだのは、自然を彷彿させるようなアースカラーです。オレンジやアイボリー、ライトブラウンなど明るい色味が混ざり、それがデザイン性を一層高めてくれました。
混ぜ葺きによってグラデーションを表現することで、立体感と柔らかさを感じさせてくれる外観となっています。建物全体は、暖色系の色で統一。南欧でよく見かける切妻屋根がかわいい印象をもたらしてくれました。
瓦のS字の曲線が屋根面に立体感と個性的な表情を演出してくれました。
洋瓦は雨や雪が溜まらないように勾配をつけて設置されるため、地上から斜面がよく見え、外観デザインの一部になります。
地上からもオレンジ系の優しい色味の洋瓦を眺めることができ、淡いクリーム色の塗り壁と相まって、一層、南欧風の暖かみが感じられます。
オレンジ系の色味のテラス、木製のガーデンテーブル・ガーデンチェアーを置き、自然に包まれながら優雅な時を過ごせそうな空間となりました。
洋瓦が映える外観のデンタルクリニック
こちらは、デンタルクリニックの外観です。屋根形状は寄棟で、S型瓦の洋瓦を使って混ぜ葺きで仕上げました。
建物全体の外壁は、オレンジやイエローなどが混ざった洋瓦とマッチする色味を採用。道路側の外壁にはレンガを施してアクセントにしています。
1階部分は縦長のスマートな窓、2階部分にはヨーロッパデザインでよく見かけるアーチ状の窓を整列しました。たくさんの窓が並んでいますが、アーチが描く柔らかさによって圧迫感のない外観です。
また、外構も建物と同じような色味で吹き付けて仕上げました。アーチ状のくぼみを数か所、下部分にはピンクやイエローの優しい色味の石貼りを設け、シンプルながらにも立体感のある表情をもたらしています。
洋瓦や塗り壁など、建物全体が優しいカラーでまとまっているので、黒い門とフェンスは軽やかなアクセントとなり、それほど重々しくなることがありません。
門を開いてから玄関までのアプローチの写真です。
オレンジやグレー、クリームなど、暖かい色味の彩り豊かな乱形石を施しました。ひとつひとつは不整形でばらばらに見える石ですが、丁寧にバランス良く張り合わせることで高級感のある通路となります。
デンタルクリニックとは一見して分からないようなデザイン性の高い建物です。訪れる患者様が気負いなく治療を受けられるように、心を和やかにしてくれる素敵な外観となりました。三角の屋根と洋瓦がスタイリッシュな住宅
こちらは、イギリスで伝統的な建築方法のチューダー様式の建物です。柱や筋交いなど本来内部にある建材が露出して装飾性を高めたデザインとなっています。
F型の洋瓦を採用した切妻屋根で、横から見たときの“三角”や“縦長の窓”が英国らしさを感じさせてくれる佇まいとなりました。屋根に採用したF型瓦はフラットな形状をしている洋瓦のため、S型のような凹凸はそれほど感じられません。
一見して“瓦”には見えないようなスタイリッシュでモダンな印象を与えてくれる特徴があります。
洋瓦は、伝統的な建築の海外デザインにもマッチする屋根材です。高貴で美しい風格が漂う洋瓦が別荘に訪れたときのような落ち着きをもたらしてくれました。洋瓦に起きるトラブル事例とメンテナンス方法
洋瓦はほかの屋根材と特徴や施工方法も大きく異なるため、後々のトラブルを引き起こすことがあります。
洋瓦だからこそ、起こりがちなトラブル事例や、それを回避するためのメンテナンス方法について説明していきます。
洋瓦を使った家に起きるトラブル事例
瓦のずれや割れで雨漏りが起きる
瓦は耐久性が高いので基本的に寿命が長いですが、地震や強風などの自然災害が引き金となって「ずれ・割れ」が起こることがあります。
屋根材の下には防水シートが張られ、室内への雨水の浸入を防いでいるため、「瓦のずれ・割れ」が起こったからといって雨漏りがすぐさま引き起こされることはありません。
ただ、放置すると内部に雨が入り込む状態が長く続き、雨漏りはもちろん、木材の腐食にまで発展します。7
かつての日本では、土によって瓦を1枚ずつ固定する「土葺き工法」で、瓦のずれが起こりやすかった時代がありました。
現在は、桟木に引っ掛けて釘で1枚ずつ固定する工法が主流となっているほか、瓦の施工においてガイドライン工法が制定されています。「耐震性」「耐風性」を強く意識した施工により、簡単にはずれにくくなっているのです。
経年劣化が進むと強度が低下する
高温で焼き上げられた瓦本体は劣化しづらい強度の高い屋根材です。ただ、瓦を施工するときはほかの素材の部材も使うため、その劣化による強度の低下もあります。
木材が腐食して釘やビスが浮き、雨水が浸入しやすくなるケースもあるでしょう。
地震や台風などにより大きな被害がなくても、施工から10年も過ぎた頃には経年劣化が始まって強度的には弱まってしまうのです。
商品の廃盤によるデザイン性の低下
劣化や破損により修理が必要な場合、瓦屋根は部分的に差し替えができます。
ただ、なかには商品の生産が終わっていて廃版となっているケースもあって、まったく同じものが見つからないというトラブルもあります。
ものによって異なるものの、デザイン性の高い洋瓦は10数年経つとデザインが変わってしまうこともあるからです。
既存の瓦が廃版となっても代用の洋瓦により補修は可能ですが、カラーや雰囲気をいくら似せても、そこだけが浮いてしまう可能性はあります。
劣化によるトラブルを防ぐメンテナンス方法
10年周期で定期的な点検やメンテナンスを行う
ほかの屋根材と比べて「塗装がいらない」という特徴がありますが、けしてメンテナンスが必要ないわけではありません。
前述したように、「ずれや割れによる雨漏りリスク」や「老朽化による強度の低下のリスク」が洋瓦にはあります。瓦自体は50年を超えるほどの耐久性の高い建材ですが、台風などで硬いものがあたるとひびや破損の可能性も考えられます。
また、瓦の頂部となる棟には、隙間を埋めて瓦が落ちないように漆喰が埋められています。ここも、ひび割れで隙間が発生すると雨の浸入場所になるため、定期的なメンテナンスが必要な箇所です。
何かしらの劣化・トラブルを見過ごして長い年数経つと本来の寿命よりも短くなります。10年を目安とし「定期的な点検」、そして状況に合わせたメンテナンスを行いましょう。
洋瓦の素材の種類に合ったメンテナンスを行う
ここまで洋瓦について、粘土を高温で焼いた“陶器瓦”とお伝えしました。
実は、洋瓦には、セメントや砂、水を混合したものからできた「セメント瓦」などのほかの素材からできたものもあります。ただ、セメント瓦は古い家で見かけることはあっても、今では製造されていないため、近年の新築では使われることがありません。
通常、新築で採用される洋瓦は陶器で、基本的には塗装は不要です。
ただ、洋瓦を設置するための釘やビス、棟などに金属や樹脂を使うことから、取り付け時に使う部材の素材に合ったメンテナンスが欠かせません。
また、洋瓦は輸入もできますが、日本製のものもあります。海外から輸入した洋瓦を使う場合は、日本の気候や建物の構造などに合わせて施工されますが、素材ごとの特徴や寿命に合わせてメンテナンスをすることが重要です。
しっかりと技術のある会社で施工の依頼をする
洋瓦の施工は、屋根材のなかでも難易度が高いです。
「デザイン性が高い」「長寿の屋根材」という洋瓦の魅力を最大限に引き出すには、しっかりとした知識を持った施工業者への依頼が欠かせません。
”風”という妥協を許さない参會堂の家づくり
最近の日本の住宅街を見ると、洋瓦を使った海外風の家が数多く溢れています。
黒やグレー、ブラウンなどの落ち着いた色味が多いなか、オレンジ系の洋瓦には“華やかさ”があります。洋瓦を使った住宅は、一般的に「洋風住宅」と言われ、海外に佇むようなデザインが特徴的です。
ただ、よく見ると、海外デザインに近付けているだけで、“風”でしかない住宅も多々あります。
外壁や外構が中途半端なデザイン、本物の素材ではなく、似せた素材を代用しているケースも少なくありません。参會堂の家づくりは、そんな”風”では終わらせない家づくりをいたします。海外デザインを追求するなら、素材を海外から輸入するのが最も効果的です。
私ども参會堂には、本物の建材を海外から輸入し、そして海外とのネットワークを駆使しながら本物の海外デザインの設計をした家づくりができる体制を整えています。
海外の素材を直輸入できる販路を持ち、そして長きにわたって海外デザインを設計している設計力・デザイン力を家づくりに活かしている参會堂だからこそ、“風”ではない、本物の海外の家づくりが可能なのです。「ありきたりの洋瓦のデザインにしたくない」という、あなたの家づくりの大切な想いを私どもに是非ともお聞かせください。
参會堂が創り出す「唯一無二」の独創空間
参會堂は、1992年の創業から一切の妥協を許すことなく建築と向き合ってきた、海外デザイン建築を得意とする設計事務所です。
どの建築会社にも真似できない秀逸な参會堂の建築デザインは、住宅設計のみならず、クリニック設計や土地活用・賃貸設計といった分野で、多くのお客様からご支持頂いております。
住宅設計なら「ずっと家に居たくなる空間」、クリニック設計なら「ホスピタリティが溢れる空間」、土地活用・賃貸設計なら「いつまでも色褪せない魅力を放つ空間」と…。参會堂は、それぞれのお客様のご要望に合った価値を生み出し、ご提供しております。
一切妥協のない本物の建築技術、心躍るような唯一無二の空間をお求めの方は、是非その夢を参會堂にお聞かせください。