近年の家づくりでは、フローリングを床材に選ぶ方が増えています。
フローリングと一口に言っても、多くの方々が思い描くようなものをはじめ、凝ったデザインのものまでさまざまです。
「木材からできた床」という点はすべて共通していますが、どんな木材から生まれたフローリングかによって色味や特徴、お部屋の印象がだいぶ変わります。
- 「フローリングのデザインはもちろんだけど、機能性も大事にしたい」
- 「こだわり過ぎてフローリングだけが浮いてしまわないだろうか…」
- 「そもそもフローリングにはデメリットがないの?」
- 「自分の理想を叶えてくれるためにはどこに依頼するべき?」
など、フローリングをお住まいに採り入れたいものの、どこか迷いのある方もいらっしゃるでしょう。
後悔のない家づくりをするなら、“フローリング”のメリット・デメリットをきちんと理解したうえで採用することが大事です。
これまでに海外のさまざまなフローリングを採り入れた住宅を手掛けた参會堂が、施工事例を交えながら詳しくお伝えしていきます。
目次
フローリングとは木を用いた床材
注文住宅は、さまざまなこだわりを反映できる家づくり。なかでも床材は、お部屋の印象や快適性にもつながる重要なポイントです。
床材にはさまざまな種類がありますが、最近の日本の住宅ではフローリングを選ぶ方が多くなっています。
床材の主流となったフローリング
フローリングは、“木”を材料に加工を施した床板のことを言います。
昔の日本の間取りは和室が多く、 “畳”が使われていることも多かったものですよね。靴を脱いで生活する日本人の暮らしにもフィットする床材です。
しかし、西洋のライフスタイルが好まれるようになってからは、畳以外の床材が注目され、リビングなどを中心にフローリングを採り入れる方が増えました。
現在の日本では、新築でもリフォームでもフローリングが最も選ばれやすい“主流”の床材となったのです。
フローリングは大きく2種類に分類される
木質系のフローリングは、大きく分けると2つの種類に分けることができます。それぞれの特徴に注目してみましょう。
複層フローリングの特徴
“複層”という言葉からもイメージしやすいですが、合板などの木の板をベースとし、それに「プリントされた木目のシート」や「薄い天然木の板」などを張り合わせた複数の層から成るフローリングが複層フローリングです。複合フローリングとも言います。
断面を見ると、いくつかの層が張り合わせられているのが分かるかと思います。
表面に木目のシートを張った複層フローリングの場合、“木目のプリント”という印象が強いかもしれません。
一方、薄い天然木を張り付けた「突板フローリング」や「挽き板フローリング」もあり、無垢フローリングと遜色のないほどの見た目をしています。
“突板”と“挽き板”の違いは、張り付ける木材の厚みです。
1ミリに満たない薄い木の板を張り付けたものが「突板フローリング」、数ミリほどの厚い天然木を張り付けたものが挽き板フローリングです。
無垢フローリングの特徴
1本の木材をそのまま自然な状態で、フローリングとして作り出したのが無垢フローリングです。
ひとつひとつが自然から生まれたまま、表情がそれぞれ異なり“味わい”が感じられます。
無垢フローリングとして使われる木材は、
- 木の香りと柔らかな肌ざわりが特徴的な「ヒノキ」や「スギ」
- 明るい色味で柔らかな肌ざわりの「パイン材(松)」
- 硬さとくっきりした木目が特徴的な「オーク(ナラ)」
などがよく知られています。
フローリングのメリットとデメリット
最近のお住まいで主流となっている床材ですから、フローリングを採用したいとお考えの方も多いかと思います。
ただ、「フローリングを選んでおけば無難だろう」と成り行きで決めるよりも、メリット・デメリットを理解しておくことで自分に合ったフローリングを選べるでしょう。
フローリングのメリット
まずは、フローリングのメリットと言える部分を見ていきましょう。
掃除しやすく清潔をキープ
フローリングの主なメリットは掃除がしやすい点です。埃や汚れが吸着するカーペットと違い、フローリングなら掃除機で埃を吸い取れば綺麗になります。ダニが発生しにくい素材なので、日々の掃除さえしっかりとできていれば、清潔を保つことが可能です。
素材の暖かい風合い
フローリングは“天然素材の心地良さ”を感じることができるでしょう。素材によって肌触りは異なりますが、木の香りや木目の美しさなどは天然素材ならではの魅力です。それぞれに暖かい風合いを楽しめます。
木材のもつ調温機能
天然の木を切り取った無垢フローリングは、調湿機能を実感できます。
湿度の高いじめじめした夏季なら、フローリングが湿気をぐんぐんと吸収。サラッと快適な空間づくりをサポートしてくれるでしょう。逆に、乾燥しがちな冬場には、フローリング内の湿度がお部屋に放たれます。
ただ、複層フローリングの場合、表面に加工が施されているため、無垢フローリングのような調湿機能は期待できないでしょう。
デザイン性に優れている
木目が生み出す模様やさまざまな色味の組み合わせにより、デザイン性に優れた床材です。
フローリングのなかでもブラウン系の色味は昔から人気がありますが、最近ではホワイトやベージュ、赤みがかった色など、色のバリエーションも増えています。
また、フローリングの並べ方によってもデザインを変えることができるため、お部屋の印象変えることもできます。
フローリングのデメリット
次は、一般的に言われているフローリングのデメリットを見ていきましょう。
水分を含むと変質する
木材を使っているため、“水分に弱い”のがデメリットです。
水分が材質に入り込むと、木の膨張や変色などを起こす可能性があります。基本的には、水分をこぼしたときは、すぐに乾拭きしましょう。
また、撥水性を施したフローリング材を選ぶことでも対策が可能です。
素材によっては冷える
薄い木材を張り合わせている複合フローリングの場合、素足、もしくはソックスを履いて歩くと、冬場に“冷え”を感じることがあります。
これは、フローリング内の“空隙率の低さ”が原因です。分かりやすく言うと、複合フローリングは板が複層で張り合わさった状態ですから空気がなく、断熱性も低いのです。
一方、天然の木が一枚ものの無垢フローリングには空気を含んでいるので“ぬくもりのある足元”となるでしょう。
また、どうしても足元の冷えが気になるときは、スリッパの着用やカーペットを敷くなどで対策もできます。
傷がつきやすい
家具の移動、物を落としたときなど、日常生活を送っているとフローリングにはどうしても傷がついてしまいます。
ただ、選ぶフローリングによって“傷のつきやすさ”は異なります。
極端に安価なフローリングの場合、表面に傷がつきやすいばかりか、ささくれが起こってくるケースもあります。
傷や汚れの付着をおさえるためにフロアコーティングという対策も可能ですが、耐久性などの機能性にこだわったフローリングを選ぶのもいいでしょう。
フローリングが印象的なインテリア事例3選
次に、フローリングのインテリア事例をいくつかお伝えしていきます。
ウォールナットを使用したシックなフローリング
こちらは、参會堂が施工したフローリングの事例です。
リビング・ダイニング部分に「ウォールナット」のフローリングを使用しました。クルミ科の広葉樹である「ウォールナット」は、古くから建築や家具に使われる高級木材として知られてきた材質です。
深い色味のウォールナットからは、高級感と重厚感はもちろん、天然の木が持つ柔らかなぬくもりさえ感じとることができます。
キッチンとの境目には、大理石のモザイクタイルを見切り材としたデザインを施しました。
キッチンとダイニングとの境界線が明確になりつつも、細やかなデザインのモザイクタイルが「タイル」と「フローリング」という異素材の床材を緩やかに上品につないでくれています。
カップボード周りの壁の一部にもモザイクタイルを施すことで、複数の色味から生み出された輝きが重々しくなり過ぎず空間を彩っています。シックな雰囲気を保ちながらも、お部屋全体にさり気ないアクセントをもたらしてくれました。
こちらのお住まいのように、床材に濃い色、壁から天井までを明るい白色…というように、床にダーク色を配色することで、部屋全体に広がりが感じられます。フローリングの深いダークな色味がアクセントとなり、お部屋全体が引き締まって落ち着いた印象になりました。
このように、床色の色によって部屋の印象はだいぶ変わります。
ダイニングテーブルの上側には折り上げ天井を施し、さらなる開放感が生まれました。フローリングとマッチする色味のシャンデリアが、ダイニングテーブルの中心を優しく照らしてくれます。
そのほか、天井に埋め込んだダウンライトをいくつか設け、“明るさ”と“暗さ”の立体感が演出されました。
日中は窓から差し込む光により開放的で明るい空間となりますが、陽が落ちた後にはダウンライトの光がフローリングに反射。光の陰影が生まれ、お部屋の雰囲気が昼とは違って感じられます。
無垢材をヘリンボーンで仕上げたフローリング
こちらも参會堂が手掛けた施工事例です。
リビングのセンター部分の床にフローリングを使用しました。
無垢材のオークパーケットを使い、ヘリンボーンで仕上げた床です。
全体を同じ素材で仕上げる床も素敵ですが、このように部分的に違う素材を採り入れると空間の印象がだいぶ変わります。
ヘリンボーンとは床材の張り方によって出来上がった模様のことで、一般的なフローリングの張り方に比べて個性を感じさせてくれます。
フローリングを直線方向に並べていくのではなく、アルファベットの“Ⅴ”に見えるような並べ方。張り方に手間はかかりますが、その分、お部屋に奥行やシックな印象をもたらしてくれます。
ヘリンボーンは「ニシンの骨の形」に似ていることが言葉の語源となっていると言われています。ヨーロッパの宮殿などではよく使われていた床デザインです。
床の張り方ひとつでお部屋のインテリアを華やかにしてくれる伝統的な技法と言えるでしょう。
ヘリンボーンで張ったフローリングを囲うように、ラインタイルを施しました。
一般的に異なる素材をつなぐ見切り材は、単色の細いものを選ぶとシンプルになってしまいがちです。
こちらのお住まいのように複数の色味を使ったタイルを施せば、“大判のタイル”と“ヘリンボーンのフローリング”という明らかに異なった素材でもまとまります。
複数の色で構成されたタイルの並べ方によって床のデザイン性が高まりました。
「フローリング」「ラインタイル」「タイル」は全体的に同系色ですが、そのなかでも濃淡で色味に少しずつ差をつけた配色をすることで変化が生まれました。
天井は装飾性も兼ね備えた化粧梁としました。一般的には、天井の内部に隠れながらも建物を強く支えている“梁”ですが、このように見せることでお部屋のインテリアにもなります。
フローリングと梁、窓枠、テレビ台などが深みのある茶系でまとまって上品で高級感のあるお部屋となりました。
窓枠や通路の上部などにアーチを施すことで、柔らかさと優しさもプラスされました。
デザインが特徴的なイタリアメーカーのフローリング
次は、イタリアの建材メーカーのフローリングを紹介します。
アメリカンウォールナット、ヨーロピアンウォールナット、オークの組み合わせで不死鳥をイメージしたデザインパネルです。
“ウォールナット”と言えば、世界中で知られている銘木のひとつ。着色せずとも風格ある色味が表現されることから、建材や家具などに高級感をもたらす素材として広く使われています。
ウォールナットは産地によっていくつかの種類があり特徴が異なります。
このフローリングは、深みのある茶色の「アメリカンウォールナット」、色味が明るく柔らかな「ヨーロピアンウォールナット」、そしてくっきりした美しい木目を持つ「オーク」の組み合わせです。
不死鳥をイメージしたデザインのゴールド部分は金属を埋込み、そしてフローリングの種類により色味を変えて全体的なデザインが作り出されています。素材を変え、そしてフローリングの種類も数種取り込んだフローリングです。
一般的なフローリングの枠にはまらない、こだわりの空間づくりができるでしょう。イタリアのフローリングは、材料だけの販売はしておらず、個人的に輸入することは実は難しいのです。
参會堂でご相談いただければ、イタリアのフローリングを採り入れたインテリア設計をさせていただきます。
自由な発想でつくる参會堂のインテリア設計
参會堂がこれまでに手掛けた住宅には、もちろん、数多くのフローリング事例がございます。
お客様の想いがつまった、かけがえのない家づくりのためには、枠にとらわれることのない自由な発想が大事だと考えています。
お部屋の用途に合わせた素材の組み合わせ
フローリングには複層フローリングや無垢フローリングなどの種類があり、色の濃さや木目の印象が異なります。それをバランス良く、壁や天井、家具などの色や模様も考えながらデザインしていくことが大事です。
それぞれの箇所が主張し過ぎるとお部屋の印象が乱雑となり、落ち着かない空間となることもあります。
たとえば、「フローリング×タイル」の組み合わせは、リビング・ダイニングなどに採り入れることができます。頑丈なタイルはキッチン周りに使えば、掃除もしやすく清潔を保つことが可能です。
また、家族が集い、そして来客が多いリビングなら違う種類のフローリングを融合することで、インテリア性を高めることができます。
アイアン素材の家具や照明などもおすすめです。フローリングとも相性が良く、ひと味違うデザインアが叶えられます。
お部屋の用途を踏まえた素材同士の組み合わせを楽しんでみてくださいね。
快適な空間に欠かせないデザイン性と機能性を両立
床材の素材やデザインは、お部屋の空間づくりにおいてかなりの影響力があります。
ひとつひとつがシンプルに思えるフローリングでも、それを「どのように並べて張るか」でデザインが作り出されます。
今回お伝えした“ヘリンボーン”などをはじめ、並べ方・張り方で高級感や個性を演出できる方法もあります。
ただし、家づくりでは快適性も大事にしなければなりません。個性やデザインばかりに比重を置いた設計では、快適性が二番手となってしまうこともあります。参會堂は、お客様が理想とするインテリアに近づけたフローリングをご提案してまいります。
選ぶフローリングによっては機能性が高く、一般的に言われるフローリングのデメリットをカバーすることもできるのです。
デザイン性と機能性の両立を見据えながら、お部屋にフローリングを採り入れていきましょう。
豊富な経験と確かな技術で理想のインテリアを実現
床材にフローリングを採り入れるのは、今の日本ではスタンダードなことで、ほとんどの施工会社で取り扱いが可能な床材と言えるでしょう。
ただ、デザインや機能性も兼ね備え、なおかつお客様の“こだわり”や“インテリアとの相性”も叶えてくれる施工会社との出会いは難しいものです。
これからお客様と共に歩んでいくお住まいだからこそ、フローリングを採り入れ、快適な空間づくりにするための確かな技術が欠かせません。
参會堂はこれまでに約30年も高級注文住宅を手掛けてまいりました。一般的によく知られているフローリングの枠に定まらない、個性溢れる設計事例もございます。
海外デザイナーとの連携や、独自のルートによる建材の輸入…など海外デザインの住宅も数多く設計しております。
海外のデザインに精通している参會堂だからこそ叶えられる、フローリングのデザイン。張り方や素材の組み合わせにより、お客様の理想とするフローリングを採り入れたインテリアを設計いたします。
「どんなフローリングを選べばいいか…」というように、イメージができていない段階でも構いません。
まずは、お客様のお話をお聞かせください。
共に、フローリングを採り入れた素敵なインテリアを叶えてまいりましょう。
参會堂が創り出す「唯一無二」の独創空間
参會堂は、1992年の創業から一切の妥協を許すことなく建築と向き合ってきた、海外デザイン建築を得意とする設計事務所です。
どの建築会社にも真似できない秀逸な参會堂の建築デザインは、住宅設計のみならず、クリニック設計や土地活用・賃貸設計といった分野で、多くのお客様からご支持頂いております。
住宅設計なら「ずっと家に居たくなる空間」、クリニック設計なら「ホスピタリティが溢れる空間」、土地活用・賃貸設計なら「いつまでも色褪せない魅力を放つ空間」と…。参會堂は、それぞれのお客様のご要望に合った価値を生み出し、ご提供しております。
一切妥協のない本物の建築技術、心躍るような唯一無二の空間をお求めの方は、是非その夢を参會堂にお聞かせください。