シンプルな天井と比べると高さがあっておしゃれな雰囲気を持つ“折り上げ天井”。
開放感と高級感、そして個性を演出できる折り上げ天井は、空間に彩りを添えてくれるとあって家づくりで注目している方も増えています。
海外デザインの住宅とも相性がよく、
- 天井にこだわっておしゃれな空間デザインを取り入れたい
- 個性的な家づくりをしたい
という方なら折り上げ天井を採用したいと考えるのではないでしょうか。
一方で折り上げ天井は難しい点もあり、“デザイン性が高まるから”という単純な理由だけで採用すると失敗に感じる可能性もあります。メリットはもちろん、デメリットはしっかりと理解しておくことが大事です。
今回は、参會堂がこれまでに多数手がけてきた実例のなかから、折り上げ天井を取り入れた住宅をご紹介。メリットやデメリット、注意ポイントもあわせてご紹介していきます。
目次
折り上げ天井の特徴とは
折り上げ天井とは、天井の中央寄りに向かった一部分を一段高くした構造の天井のことです。一般的な平らな天井と違い、天井に段差が生じて奥行きが生まれるのが特徴です。
“中央部分”と“周囲”との段差をどのくらい高くするかは、施工する会社の設計によって変わります。
ただ、段差部分が小さめの折り上げ天井では平らな部分との差がそれほど目立たず、折り上げ天井の意味を見い出せなくなることもあります。そこで、20~30㎝くらい折り上げ部分を設ける場合が多いです。
段差により立体的になり、自然光や照明から放たれる光反射に動きが出て“陰影”が生まれます。
開放感や立体感を演出したい目的から、リビングや玄関などに採用する方も多いです。
天井は頭上にあることから、意識しない限りじっと見ることはないかもしれません。でも、実際は視界には常に入っているスペース。
折り上げ天井は、天井の素材が同じでも“段差”だけでメリハリが生まれるため、おしゃれで凝ったデザインにすることができます。天井デザインにこだわりたい人には、折り上げ天井はぴったりです。
天井には、いくつかの代表的な構造があり、詳しくはこちらで解説しています。
折り上げ天井のメリットとデメリット
次は、折り上げ天井で得られる具体的なメリット、そして注意しておきたいデメリットについてご紹介します。
折り上げ天井のメリット
空間に開放感が生まれる
中央部分が一段高くなった折り上げ天井は、視覚的に広がりをもたらします。実際、天井が高くなると部屋の体積が増えるので、間違いなく開放感は得られるでしょう。
そして、「本来の天井の高さ」と「折り上げ部分」には段差が生まれ、立体的な印象になります。さらに、段差に装飾を施すこともでき、仕上げ方法によって特徴的なデザインを楽しめます。
リビングに折り上げ天井を採用する方も多いですが、リビングと言えば家のなかでも比較的広さを確保できる空間。天井を一段高くすれば、奥行きがプラスされ一層開放感が強まるでしょう。
テーブルセットを置く場所の上部など、リビングの中心に向かって折り上げ天井にすることで、ソファーに座った際にも視界が広がる感覚が得られます。
また、限られた面積で暗さを感じやすい玄関ホールにも折り上げ天井は効果的です。折り上げ天井を部分的に作ると“広がり”を与えることができ、メリハリのある空間にすることが可能です。
スタイリッシュなデザインを実現
シンプルで平らな天井と比べると、デザイン性が高まるのが折り上げ天井のメリットです。
単に段差をつけるだけでも立体的でおしゃれですが、間接照明やシャンデリア、梁などを組み合わせると一層スタイリッシュな空間作りができます。
特に、「間接照明×折り上げ天井」の組み合わせは人気です。直接的に空間を照らさずに、いったん天井や壁に反射させることで奥行きを演出。陰影や柔らかい光が開放感とともに高級感をもたらしてくれるでしょう。
ホテルや美術館のような、“非日常”を感じさせてくれるワンランク上のデザインにもできます。
また、正方形や長方形の“四角”の形をした折り上げ天井がよく見られますが、もっとデザイン性を高めるには“円形”や“多角形”、“楕円形”などにすることも可能です。
採光を良くすることもできる
折り上げ天井は空間に奥行きが生まれるので空間の奥まで光が届きやすく、採光性が高まることも多いです。
ただ、「折り上げ天井と採光性」の関係は、窓をどんな配置にするかでも異なってきます。
「縦長の窓」「アーチ型の窓」など海外デザインでよく見かける“縦長”の窓は、天井の高さを強調しやすいうえ、光を取り込みやすい形です。そもそも採光性が高い窓をバランスよく採用すると、折り上げ天井の効果も加わって一層明るい空間になります。
また、“採光用”として折り上げ天井部分の周辺に高窓や天窓などを設置する方法もあります。
折り上げ天井のデメリット
設計上の制限が生まれる場合がある
折り上げ天井を作る場合、「上の階に影響がある」「設計が制限される」といったケースがまれにあります。
1階に折り上げ天井を設けると「本来の天井位置よりも高くなる1階」に対し、2階の天井はその分天井を低くするといった調整が必要な場合があります。それが圧迫感の原因となる可能性も。
建築基準法、および条例など家を建てる際に守るべきルールも絡むため、1階の部屋、2階の部屋の使用目的も考えながら設計しておくことが大事です。
注文住宅で新築する場合、具体的なイメージが事前に分からないため、“実際に住んでから”気づくことも多いですよね。
折り上げ天井のある空間は開放的なのに、上階に影響が出て“圧迫感を感じてしまった”と後悔を生まないためには、設計段階から綿密な計画が求められます。
折り上げ天井に精通した、施工実績が多い設計事務所に依頼することが重要です。
冷暖房効率が悪くなる可能性がある
折り上げ天井の高さや面積によっては、空間全体が広がってしまうため、一般的な平らな天井と比較した場合、冷暖房効率が悪くなる可能性があります。
たとえば、「暖かい空気は上に溜まる」と聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。
折り上げ天井は部分的に高い設計ですから、上部に暖房で暖めた空気が溜まって冬は寒くなる可能性もあります。
ただ、折り上げ天井で暖房や冷房が効きづらく感じるのは、空気の循環が悪いケースでありがちです。エアコンの位置や風向の工夫や、シーリングファンの設置などで対策ができます。
また、そもそも断熱性の高い家づくりができれば、折り上げ天井や吹き抜けにしたところで「冷暖房が効きづらい」というデメリットをそれほど感じることはありません。
参會堂では、ヨーロッパデザイン住宅にドイツ製の本場の窓を採用しています。日本でよく採用される引違い窓と違って隙間を作りづらい構造で気密性が高く、高い断熱性能により冷暖房効果を高めることが可能です。
折り上げ天井を採用する際に注意するべきこと
折り上げ天井の構造だからこそ気をつけるべきポイントもあります。
メンテナンスのことを考えておく
折り上げ部分の“段差の形状”によっては、ホコリや蜘蛛の巣が結構溜まります。照明やシーリングファンなどにもホコリが付着するので定期的に取り除きたいところです。
ただ、通常の天井位置よりも折り上げ部分が20~30㎝も高くなり、掃除のために普通の脚立に上がっても手が届きづらいでしょう。無理な体勢になると危険ですし、何度も行うのは手間を感じやすいかもしれません。
また、折り上げ天井に取りつけた照明に電球交換が必要な場合も、“交換しづらい”という難点があります。
電球交換のタイミングはそれほど頻繁にやってくるわけではないですが、脚立に上っての作業は難易度が高いです。一体型の照明を取り付けている場合は、そもそも自分で交換ができずに専門業者への依頼が必要です。
折り上げ天井のなかでも複雑な構造にすると個性が溢れて素敵ですが、掃除・メンテナンス面をふまえた設計も重要です。天井に関するメンテナンスは、専門業者に任せるなどを想定しておくと安心です。
トータルコーディネートが欠かせない
折り上げ天井はデザイン性があって素敵な建築技法のひとつです。ただ、折り上げ天井を取り入れたからといって無条件におしゃれで快適になるとは限りません。
照明や壁、空調など、他のインテリアとの兼ね合いを考えた上での採用が重要です。
折り上げ天井の成功の秘訣のひとつに“照明へのこだわり”があります。一般的な平ら天井と比べると、照明のデザインの選択肢の幅が広がり、間接照明やシャンデリア、ダウンライト、スポットライトといった照明器具との相性も良いです。
段差がある折り上げ天井は独特な“光の反射”による陰影が生まれ、表情豊かな空間になるでしょう。
また、前述したように冷暖房効率が悪くなる可能性をふまえて、空気循環のためにシーリングファンを設ける方もいます。
“空気を循環させる”という機能はもちろんのこと、空間のテイストに合わせたデザイン性の高いシーリングファンを選ぶことで、折り上げ天井のスタイリッシュなデザインが活きてきます。
折り上げ天井は、インテリアの雰囲気に合わせた上質な家具を置くことや、空調の効きやすさ、“機能性”など、空間全体のトータルコーディネートが求められます。
「折り上げ天井を作る」だけでなく、空間全体を見ながらデザイン・設計する技術力のある施工会社に相談することが大事です。
施工コストについて理解しておく
照明や素材など細かい点までこだわることができる折り上げ天井は、デザインや仕上げ材によって通常の天井よりもコストが増えることがあります。
たとえば、主照明のほか、ダウンライトやスポットライトなどを取り付けると照明の数も多くなり、コストアップにつながるでしょう。
また、折り上げ天井は“梁”を露出したデザインも楽しめますが、複雑になるほど施工コストも高くなりがちです。
折り上げ天井はさまざまな建築技法やこだわりの設備との組み合わせで、さまざまな空間演出ができます。
だからこそ、「段差をつけただけ」の折り上げ天井よりも、仕上げにこだわるほどにコストは高くなる点については理解をしておかなければならないでしょう。
また、コスト削減のために安価な素材や設備を選ぶと後悔につながることもあるため注意が必要です。折り上げ天井の実績が豊富な設計事務所への相談・依頼が大事です。
折り上げ天井を取り入れた参會堂住宅事例4選
参會堂では、これまでにたくさん折り上げ天井を取り入れた海外住宅を多数手掛けております。そのなかから、魅力的な折り上げ天井デザインを4つご紹介していきます。
リビングに折り上げ天井を採用した事例
リビングの天井を折り上げ天井にした施工事例です。
折り上げ部分の中心を彩るように、豪華なデザインのシャンデリアを設置しました。
シャンデリアを吊り下げる場合、その大きさによっては人と干渉しないよう、天井を折り上げ天井にすることがよくあります。この事例では、吊元にモールディングの装飾を施し、周囲に間接照明を設置することで、ラグジュアリーで優雅な空間を演出しています。
床には薄いアイボリー色の天然大理石を採用。折り上げ部分と上下で向かい合う位置だけ大理石のパターンを変え、デザイン性を高めました。
暖炉まわりにも大理石の装飾棚をデザインし、一層、豪華な雰囲気が漂います。
大理石という素材が持つ輝きと、シャンデリアの煌びやかなデザインが相まって、清潔感とエレガントな空間を実現しています。
寝室に折り上げ天井を採用した事例
寝室の天井を折り上げ天井にするのもオーソドックスなパターンです。
寝室の場合、照明選びは“安眠”を重視することが多いです。あえて、天井中心に照明を取り付けず、「折り上げ天井+間接照明」と柔らかな光を意識しました。
オフホワイトの天井の色とオレンジ系の電球色は、読書や音楽鑑賞など寝る前のリラックスタイムに心地良い空間を生み出してくれることでしょう。
壁にはバーガンディと言われる、レッドとパープルを混ぜ合わせた色味を選びました。
寝室は照明が反射し過ぎないよう、暖色系の色調とマットな質感にすることで、より落ち着いた印象にすることができます。
バーガンディの壁紙と、折り上げ天井の間接照明が調和して、まるで英国のラグジュアリーホテルのような気品と落ち着きのある空間となりました。
モールディング装飾された腰壁や、金色の装飾が施されたカーテンレールなど、英国の建築でよく見られるデザイン・素材を取り入れています。
3段の折り上げ天井を取り入れた事例
こちらのお住まいでは、3段の折り上げ天井をつくっています。
「数十㎝・1段」という折り上げ天井でもシンプルながらにも開放感は得られますが、こちらの事例のように少しずつ内側に段差を数段重ねることで“デザイン性”と“立体感”が一層高まります。
天井や白い壁の清潔感のなか、建具には重厚感のある色味を選びました。
床には産地や色味がそれぞれ異なる大理石を選び、模様を描くように並べています。外側から内側に向かって明るい色味を使い、中心部は白い四角形のなかに円形のデザイン。天井の照明の形状ともリンクするように見えます。
折り上げ天井に向かって上下に対比するようにバランス良い配置としました。
シンプルでありながら、しっかりと存在感を示す細やかな天井デザインは、エントランスを洗練された空間へと格上げしています。
縦長の大きな格子窓からは外の光が奥深くまで入り込み、鏡面のような大理石に反射し輝きを見せてくれています。
多角形の折り上げ天井を取り入れた事例
折り上げ天井の内側に、モザイクタイルをあしらった施工事例です。
丸みを帯びた照明を取り囲むように、多角形の折り上げ天井としました。折り上げ天井の壁紙は、周囲よりも少し濃いトーンの壁紙を合わせています。
床タイルや窓枠の濃いブラウンとも相性のよい色味です。照明から放たれたオレンジ色の光が壁紙とモザイクタイルの“ブラウン”と混ざり、上品で落ち着いた空間へと導いてくれます。
一段下がった天井との境目にはモールディングを施しました。床にデザインされた繊細なデザインのモザイクタイルと調和し、美しくエレガントな雰囲気を生み出しています。
天井にもこだわった理想の住宅を手に入れよう
参會堂の家づくりは、ありきたりのデザインではなく、お客様の理想とするイメージを形にすることを第一に考えています。
天井のデザインで部屋の印象は劇的に変わる
折り上げ天井にすると空間に開放感があり、スタイリッシュな雰囲気にできます。平らな天井と比べると、その違いは明らかです。
折り上げた部分に、ベースと異なるアクセントカラーのクロスを貼ることや、存在感のあるシャンデリアを取り付けるといったデザインも可能です。
本格的なシャンデリアにもなると重量もそれなりにあるため、安定性に装飾性を兼ね備えた“メダリオン”という台座を取り付けることもできます。
ヨーロッパデザインの住宅ではよく採用されている天井飾りを、折り上げ天井の雰囲気に合わせることで空間がグレードアップします。
細部にまでこだわる参會堂の高級注文住宅設計
どんな家を建てたいかという理想像はお客様によって違います。
ひとことで“折り上げ天井”とはいっても、お客様が好むインテリアやテイストなどの方向性が異なれば、描くべきデザインも当然変わります。
規格住宅のようにいくつかの選択肢から選ぶのではなく、枠にとらわれることのない“自由な発想”から唯一無二のデザインを叶えてまいりましょう。
私ども参會堂は、お客様の話からインスピレーションを抱き、それをデザインへとつなげてまいります。「折り上げ天井にしたいけれどイメージがまだ湧かない」といった段階でも問題ございません。まずは私どもにお話を聞かせてくださいませんか。ともに、細部にこだわった家づくりを叶えてまいりましょう。
参會堂が創り出す「唯一無二」の独創空間
参會堂は、1992年の創業から一切の妥協を許すことなく建築と向き合ってきた、海外デザイン建築を得意とする設計事務所です。
どの建築会社にも真似できない秀逸な参會堂の建築デザインは、住宅設計のみならず、クリニック設計や土地活用・賃貸設計といった分野で、多くのお客様からご支持頂いております。
住宅設計なら「ずっと家に居たくなる空間」、クリニック設計なら「ホスピタリティが溢れる空間」、土地活用・賃貸設計なら「いつまでも色褪せない魅力を放つ空間」と…。参會堂は、それぞれのお客様のご要望に合った価値を生み出し、ご提供しております。
一切妥協のない本物の建築技術、心躍るような唯一無二の空間をお求めの方は、是非その夢を参會堂にお聞かせください。